『IT/イット"それ"が見えたら、終わり。』の監督を手がけたアンディ・ムスキエティ監督がハリウッド実写版を製作すると発言し、注目を集めている『進撃の巨人』。今から10年前に「別冊少年マガジン」で連載が開始された漫画は累計発行部数8,000万部を突破、アニメ、ゲーム化など社会現象を巻き起こしたことでおなじみのモンスター作品である。
その『進撃の巨人』の実写映画(2015年公開)で主役のエレンを演じたのが三浦春馬だ。ワイヤーアクションなど体当たりで挑んだ映画で見せた顔とは? 30才を目前にして役の幅を広げ、俳優として切磋琢磨し続けている三浦に焦点を当ててみよう。
■『進撃の巨人』で三浦が見せた焦燥感と飢えた視線
壁に囲まれた世界で暮らす人間と巨人の壮絶なバトルを描いた『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』。樋口真嗣がメガホンをとった実写版の映画で三浦が演じたのは壁の外の世界に飛び出したいという苛立ちと冒険心を抱えている主人公の青年、エレン・イェーガー。
その思春期の夢は巨人の侵攻によって悪夢に変わり、水原希子演じる幼馴染のミカサを助けられなかった無力感に苦しみ、数年後に巨人を撃退する力を持つ訓練兵団に入団。兵士となっていたミカサと再会を果たすも葛藤し続ける役柄だ。
もともと原作のファンだったという三浦のバトルシーン、ワイヤーアクションも見ものだが、注目したいのは衝動をどこに向けていいのかわからない焦燥感となにかに飢えている若者特有の鋭い目つきと翳りのある表情だ。端正で涼しげな顔立ちゆえ、爽やかなイケメン役が似合う三浦だが、『進撃の巨人』では絶望の世界の中、追い詰められていく人間の心理を表現している。
■念願の悪役や初の父親役にもチャレンジ
ずっと悪役をやってみたかったという三浦の念願が叶ったのが2018年に公開された映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』の伊東鴨太郎役だ。真選組をのっとろうと画策する知的で超クールな剣士役に挑戦し、メガネに眉間に皺を寄せ、口元を曲げてシニカルに笑う姿は一見、三浦春馬だとはわからないほど。喋り方や所作など細部まで追求し、役になりきっているからだろうが、この映画で悪役も似合うことを証明した。
また、2019年夏に放映されたドラマ「TWO WEEKS」では父親であり逃亡犯の役に初挑戦。白血病の娘がいながら、殺人犯の濡れ衣をきせられるタイムリミットサスペンスストーリーに挑戦し、父性を感じさせる演技とアクションシーンが高い評価を得ることに。イケメン俳優の王道と言われながら、人気に甘んじることなく、さまざまな役柄に挑み続ける三浦春馬。4年前に『進撃の巨人』で見せた顔も、その後の飛躍に繋がっているのかもしれない。
文=山本弘子
放送情報
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN
放送日程:2019年12月15日(日)19:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
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