切ない初恋模様に心揺さぶられる...三浦春馬らの名演が今も愛され続けている理由

「おんな城主 直虎」
「おんな城主 直虎」

現在放送中の第60作「青天を衝け」をはじめ、これまで数々の話題作を生み出してきたNHK大河ドラマ。緻密な時代考証に基づいた重厚な歴史劇で絶対的なブランド力を築き上げてきた同枠だが、中には少女漫画的なアプローチで新たな方向性を打ち出した作品もある。それこそ、ファンの間で長く愛され続けている第56作「おんな城主 直虎」(2017年)だ。

悲しく切ない初恋模様に心揺さぶられる「おんな城主 直虎」

(C)NHK

戦国時代、男の名で家督を継いだ遠江(静岡県西部)井伊家の当主・井伊直虎の生涯を柴咲コウが演じた「おんな城主 直虎」。2017年の放送当時からTwitterトレンド大賞のドラマ部門第1位を獲得するなど熱狂的な支持を集めていたが、再放送を望む声に応える形でチャンネル銀河にて5月24日(月)深夜より再び放送される。

放送から4年経った今なお高い人気を誇る理由として、新たな解釈で紡がれた物語の斬新さが挙げられる。というのも、直虎は徳川四天王の一人に数えられる井伊直政の養母と伝えられているが、資料が少なく、一般的な知名度も低い人物。それを逆手に取って創作にも幅を持たせており、人物像も"悲運のお姫様"とは一線を画し、ワイルドで機知に富んだ魅力的なキャラクターへと昇華させている。

「おんな城主 直虎」

(C)NHK

そんな創作の自由度の高さが最も顕著なのが、史劇の中に幼なじみの男女3人の恋愛模様という少女漫画的要素を盛り込み、"イケメンドラマ"のような側面を持たせた点だ。

脚本を担当した森下佳子は、この作品までにNHKの連続テレビ小説「ごちそうさん」(2013年)や、「白夜行」(2006年)「JIN-仁-」(2009年,2011年)「義母と娘のブルース」(2018年)...といったドラマティックな展開が話題を呼ぶ良質な作品を多数手がけており、その手腕を本作でも発揮している。

「おんな城主 直虎」

(C)NHK

「おんな城主 直虎」

(C)NHK

直虎と井伊直親(三浦春馬)と小野政次(高橋一生)、3人の幼少期から物語は幕を開ける。許嫁の関係であり、相思相愛だった直虎と直親は相次ぐ陰謀に巻き込まれ、幼くして離れ離れ慣れに。井伊家存続のために自身の気持ちを押し殺し、直虎は出家の道を選び、直親は別の女性と結婚することになる...。

時代や立場といった歴史劇ならではの恋愛事情に加え、直親の戦死という史実を上手くリンクさせた悲劇的な展開、そして直親が遺した嫡男・虎松(後の直政)を後見人として育て上げていくという、結ばれずとも生涯をかけて貫かれた直虎の想い...。俳優たちの演技はもちろん、様々な要素が重なった悲しく切ない初恋模様には、多くの視聴者が心を揺さぶられたことだろう。

「おんな城主 直虎」

(C)NHK

そんな直虎に仕えた家臣である政次も視聴者の心を鷲掴みにした存在だ。幼くして直虎への想いを封印し、陰ながら支えること...つまり嫌われ役を買っていた政次。そんな彼が窮地に陥った直虎を自らの命と引き換えに守るという壮絶な最期を描いたエピソード(第33回・嫌われ政次の一生)は、"政次ロス"を続出させ、チャンネル銀河がCS初放送を記念して今春実施した「視聴者が選ぶベストエピソード」の1位にも選出された。

「おんな城主 直虎」

(C)NHK

「おんな城主 直虎」

(C)NHK

直親や政次に加えて、直虎を愛した男の一人である盗賊団の頭・龍雲丸(柳楽優弥)や、後半の物語を加速させる井伊直政(菅田将暉)ら、直虎と彼女を取り巻く男性たちとの関係性を主軸としながら、血なまぐさい戦国時代を描き切った「おんな城主 直虎」は、大河ドラマにある種の新風を吹き込んだといって過言ではない。この斬新さと俳優たちの名演が巧みに融合した稀有な作品だからこそ、今でも熱い支持を集めているのではないだろうか。

文=HOMINIS編集部

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放送情報

おんな城主 直虎
放送日時:2021年5月25日(火)0:00~
※毎週(火)~(土)0:00~
チャンネル:チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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