戦うヒロインもハマリ役!女性の強さと弱さの両面を体現する長澤まさみの存在感

「アイアムアヒーロー」
「アイアムアヒーロー」

(C)2016 映画「アイアムアヒーロー」製作委員会 (C)2009 花沢健吾/ダーチャ

12歳で芸能界入りしてからこれまで、様々なジャンルの作品に多数出演してきた長澤まさみ。時には恋愛映画のヒロインとして、時にはコメディエンヌとして、どんな役でも演じられる俳優として不動の地位を築いてきたが、映画『アイアムアヒーロー』(スターチャンネル1にて8月13日(金)に放送)ではゾンビパニックとの親和性の高さも証明。得体の知れない恐怖に巻き込まれる女性を、凛とした佇まいとともに演じきっている。

海外の映画祭でも絶賛されたゾンビパニック「アイアムアヒーロー」

(C)2016 映画「アイアムアヒーロー」製作委員会 (C)2009 花沢健吾/ダーチャ

花沢健吾原作の人気コミックを大泉洋主演で映画化した本作。冴えない漫画家アシスタントの鈴木英雄(大泉)はそれなりに平穏な日々を送っていたが、ある日恋人が謎のウイルスに感染し凶暴化。からくも逃げたところ、街には恋人と同じような状態の感染者たち、通称・ZQN(ゾキュン)で溢れかえっており、英雄は偶然出会った女子高生と逃避行することとなる。

『GANTZ』(2010)や『キングダム』(2019)など漫画原作の実写化に定評のある佐藤信介監督がメガホンを取り、原作の世界観をリアルに再現するために、韓国の閉鎖されたアウトレットモールで大規模なロケも敢行。生き残りをかけた人々のZQN(ゾキュン)との壮絶な戦いを見事に表現している。また、「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年)や「アンナチュラル」(2018年)といった人気ドラマを多数手がける野木亜紀子が脚本を務めたことでも話題だ。

平凡な日常から一転、瞬く間にZQN(ゾキュン)が増殖していく過程がスピーディーに描かれ、グイグイと見る者を惹きつける。またZQN(ゾキュン)の恐ろしいことこの上ない造形や、血しぶき飛び散る対決シーンなど、佐藤監督がR15+指定の限界に挑んで作り上げたサバイバル描写は迫力満点だ。

「アイアムアヒーロー」

(C)2016 映画「アイアムアヒーロー」製作委員会 (C)2009 花沢健吾/ダーチャ

長澤が演じているのは、英雄が女子高生の比呂美(有村架純)と逃避行をする中で出会った、元看護師の藪。くじけそうになる英雄の背中を押してくれる頼もしさや、オノを武器にZQN(ゾキュン)と戦う姿も勇ましく、長澤とゾンビ映画との相性の良さをたっぷりと感じさせてくれる。

サバサバ系女子に見える薮だが、胸の内には自責の念や葛藤を抱えており、長澤は彼女の"強さ"と"弱さ"の両面を体現。凛々しくもあり、せつなさもたたえた瞳の演技にも注目だ。英雄役の大泉との掛け合いや、姉のように比呂美を守ろうとする姿など薮の魅力が感じられる場面も多く、長澤がゾンビ映画に欠かせないドラマ性の一端をしっかりと担っている。

本作の前後では、ジョン・ウー監督作『The Crossing ザ・クロッシング』(2014年)、是枝裕和監督作『海街diary』(2015年)、黒沢清監督作『散歩する侵略者』(2017年)など、世界の名だたる監督のもと、新たな挑戦を重ねていた長澤。また、佐藤監督と再び相まみえた『キングダム』(2019年)でも敵をなぎ倒す美しき楊端和役で話題を集めたことも記憶に新しい。

あらゆる経験や学びが花開き、今年3月に行われた第44回日本アカデミー賞では、自堕落なシングルマザーを演じた『MOTHER マザー』で最優秀主演女優賞を受賞している。誠実で堂々としたスピーチも印象深く、名実ともに日本映画界を背負って立つ存在となった彼女の今後がますます楽しみだ。

文=成田おり枝

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放送情報

アイアムアヒーロー
放送日時:2021年8月13日(金)20:45~
チャンネル:スターチャンネル1
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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