初主演舞台を振り返る松下洸平、「20代中盤までは鎧をまとっていたように思います」

劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチによる'04 年の戯曲「カメレオンズ・リップ」が、松下洸平さん主演で今年4~5月に新たに上演された。登場人物たちがうそをつきだまし合うクライム・コメディで、9月12日(日)に衛星劇場でTV初放送される。

KERA CROSS第三弾 「カメレオンズ・リップ」に出演する松下洸平

撮影:桜井隆幸

「初主演作品だったので、すごく責任を感じていました。そんな中で台本を読んだのですが、何度読んでもとにかく登場人物たちがうそをつくので、どれが本当か分からなくて、これはもう演じてみるしかないなと(笑)。稽古中はキャストみんなで『このセリフはうそでいいんだよね?』『最初に言ってたセリフは、結局うそだったってこと?』というように、1ヶ月かけてひも解いていきました。観賞していただくと頭の中に"?"がたくさん浮かぶと思いますが、それをいかに軽快に煙に巻いていけるかが課題でした」

演じたのは、生前呼吸するようにうそをついていた姉・ドナ(生駒里奈)を慕う弟・ルーファス。

「彼は自称詐欺師でうそをついて人をだますことを生業にしていますが、実はすごく正直者で素直な男。演じる上では、彼の性根の部分を特に大切にしたいと思いました。どんな経緯で生きてきて、どんな性格で、どういう経験をして今の彼が出来上がったのかをより深く考えました。亡くなった姉の帰りを待ち続ける寂しがりやで、本当は幸せを望んでいるんですが、それを隠すように一幕では堂々と振る舞っている。彼は鎧をまとわないと生きていけないんです。それがどんどん剝がれていき、最後は子供のようにはしゃぐという変化も楽しんでほしいです」

松下さん自身、20代は"鎧をまとっていた"時期があったそう。

「20代中盤までは、自分が何者かが分からなかったんですよね。なので、いろんな人のまね事をしていたように思います。認めてほしくて、活躍している人から何かを盗もうともがいていました。でも、いくら誰かのまねをしても、結局それってその人しか着られない"スーツ"なんですよね。似たようなスーツを作って着てみても、サイズも合っていないし似合わない。30代になって、自分らしく生きていることが一番の理想だということに行き着きました。仕事の幅も広がって、そのままの自分を受け止めてくれる人が増えたからというのも大きいです。なんとなくですが、やっと自分に似合いそうなスーツが見つかったのかもしれません」

撮影=大川晋児 取材・文=横前さやか スタイリスト=渡邉圭祐 へアメーク=宮田靖士(THYMON Inc.)

まつした・こうへい●'87年3月6日生まれ、東京都出身。'09年から舞台を中心に俳優活動を始める。'19年にNHK連続テレビ小説「スカーレット」で注目を集め、現在はドラマや映画など活動の幅を広げて活躍中。出演映画「燃えよ剣」が10月15日(金)公開予定。8月25日には、メジャーデビューシングル「つよがり」をリリース。

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放送情報

KERA CROSS第三弾「カメレオンズ・リップ」
放送日時:2021年9月12日(日)17:00~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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