姉への複雑な思いを表現...西城秀樹がドラマで見せた演技

「話してよいつものように」より
「話してよいつものように」より

訃報から3年。今年がデビュー50周年となる西城秀樹は、今なお唯一無二のスーパースターであり続けている。彼が日本芸能界に残した足跡はあまりに偉大だ。その功績は色褪せるどころか、月日が経つごとにその輝きは増しているようにさえ感じさせられる。

1972年に「恋する季節」でデビューし、同年発売の3rdシングル「チャンスは一度」などのヒットでトップアイドルの仲間入り。彼独特の情熱的なパフォーマンスとパワフルな歌唱スタイルで多くのファンを魅了し、郷ひろみ、野口五郎と共に新御三家と称された。

稀代のトップアイドルとして一世を風靡する西城は、歌手活動の他にもテレビやCMで大活躍。その中で、彼の好青年を絵に描いたような快活なキャラクターは、幅広いファン層を獲得する要因にもなった。

「話してよいつものように」に出演した西城秀樹

一方、ドラマとなると少々話は違ってくる。特に80年代以降が顕著だが、様々なワケあり女たちの人生模様を描く「くねり坂」や、一獲千金を夢見て公金横領を企てた男の運命を描く「持ち逃げ 私の愛・連れてって」など、彼のキャラクターからは想像がつかないような役に多くチャレンジしているのだ。

1990年に放送された日曜劇場「話してよいつものように」(9月にTBSチャンネル2で放送)もそんな作品の1つだ。

本作は幼い頃に施設に預けられ、その後引き取られた養父母の下で共に育った2人の姉弟が主役。立派な大人に成長した西城演じる弟の大木慎介と姉のみどり(長山藍子)は養父母の死後、かすかな手がかりを頼りに実母を探し続けていた。ある時、2人を拾った施設の園長が倒れたという知らせが届くが、ここで話はいきなり急展開を見せる。慎介とみどりが園長の見舞いに訪れると、そこで手渡された古い手紙には2人が姉弟ではないことが記されていた。まるで昨今の韓流ドラマを見ているようだ。

誰よりもそばに居続けたみどりと実は血縁関係が存在しないという新たな事実を知った慎介は、大いに苦悩することになる。そんな慎介の葛藤を1つ1つの表情で丁寧に表現していく西城。その迫真の演技はさながら彼の情熱が慎介に乗り移ったようで物語に重厚さを与えている。

この後、物語はドロドロした展開となるのか、それとも登場人物全員がハッピーエンドを迎える結末が用意されているか。慎介の決断や西城が見せる演技に注目しながらドラマを楽しみたい。

文=安藤康之

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放送情報

日曜劇場「話してよいつものように」
放送日時:2021年9月25日(土)7:00~
チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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