岡田将生柳楽優弥も絶賛!松坂桃李の役柄を掘り下げる鋭い分析力とは?

この10月で33歳になる松坂桃李。その年代では頭ひとつ抜け、最も高く評価されている俳優と言っていいだろう。日本アカデミー賞の受賞歴を見てみると、デビュー4年後の2012年度に新人俳優賞、2018年度に『孤狼の血』で最優秀助演男優賞、2019年度に『新聞記者』で最優秀主演男優賞を受賞し、着実にステップアップしている。そして、公開中の『孤狼の血 LEVEL2』では、前作からがらりと変貌したマル暴の刑事を熱演している。

特撮ヒーローから始まった彼のキャリアがここまで評価されるようになったのは、みんなに好かれるTVスターというポジションになってからも守りに入らず、クセの強い役やダーティーな役にも挑戦してきたことが大きいだろう。2015年の映画『日本のいちばん長い日』(原田眞人監督作品)では過激な陸軍将校役、2016年の舞台「娼年」(石田衣良原作・三浦大輔演出)では高岡早紀との長いベッドシーンを演じ、2015年の映画『ピース オブ ケイク』(ジョージ朝倉原作・田口トモロヲ監督)では"オカマの天ちゃん"を演じた。主演にこだわらず、好感度の高い役にも固執せず、あえて好青年イメージを崩すようなインパクトの強い役柄を選んできたようにも思える。それゆえ、時代を牽引する演出家やクリエイターにも認められてきた。

そんな松坂桃李が2016年に劇作家・脚本家の宮藤官九郎と初めて組んだのが、連続ドラマ「ゆとりですがなにか」だ。

岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥らが出演した「ゆとりですがなにか」
岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥らが出演した「ゆとりですがなにか」

(C)NTV

タイトル通り「ゆとり世代」の悲喜こもごもを描いたこのドラマで、松坂は同世代の岡田将生、柳楽優弥と共演。岡田は酒造の次男坊で食品メーカーに勤める坂間正和、柳楽は大学11浪中の客引き・道上まりぶ、そして松坂は"山ちゃん"こと小学校教員の山路一豊を演じている。山路は20代後半で童貞という宮藤作品らしい設定で、松坂はそんなコンプレックスを抱えた山路が教育実習生の佐倉悦子(吉岡里帆)に翻弄されたり、生徒たちの親からプレッシャーをかけられたりする様をコミカルに演じた。最近の出演作では、問題ばかり起きる名門大学でブランド維持のため奔走する広報マンを演じたドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」(2021年NHK総合ほか)に近いキャラクターだ。

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山路は"レンタルおじさん"を相手に涙ながらに愚痴を言い、タブーなはずの実習生との恋愛に浮かれるという困った面もあるが、教室では生徒から慕われる教師であり、正和の彼女・茜(安藤サクラ)にも優しい。松坂はそんな山路を人間らしく長所と短所をもった等身大の男性として体現した。そのキャラクター造形は唸るほど的確だ。

放送スタート時のインタビューでは、共演の岡田と柳楽から「松坂さんは"ミスター分析"。なんでも客観的に考えて教えてくれる」(柳楽)、「そう!分析力がハンパない」(岡田)と驚かれ褒められている(月刊ザテレビジョン2016年6月号より)。脚本を読み込み、クリエイターの意図をつかむ鋭い分析力が、俳優・松坂桃李の強みになっているようだ。そんな松坂が「宮藤さんの書くセリフは、笑えるだけじゃなく、ちゃんとメッセージがこもっている」(同上)と語ったこのドラマ。放送から5年半が経ち、ゆとり世代を取り巻く状況も変わった今だからこそ、改めて見てほしい。

文=小田慶子

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放送情報

ゆとりですがなにか
放送日時:2021年10月9日(土)11:00~
チャンネル:日テレプラス ドラマ・アニメ・音楽ライブ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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