松下由樹、緒形直人が出演する「世界の中心で、愛をさけぶ特別編~17年目の卒業~」が、6月8日(月)にTBSチャンネル2で放送される。
2004年にTBS系で放送されたドラマ版「世界の中心で、愛をさけぶ」は、片山恭一による同名小説を原作に、山田孝之演じる松本朔太郎と、綾瀬はるか演じる廣瀬亜紀の恋を描いた作品だ。高校時代に出会い、強く惹かれ合いながらも、病によって引き裂かれていく2人。その記憶を抱えたまま大人になった朔太郎の現在と、かつての青春の日々が交差しながら描かれていく。
放送から20年以上が経った今、「世界の中心で、愛をさけぶ」は、当時の純愛ブームを象徴する作品としてだけでなく、時間を経たからこそ別の表情も見えてくる。若き日のサクと亜紀の物語はもちろん鮮烈だが、あらためて見直すと、残された人がその後をどう生きていくのか、そしてその人を周囲の大人たちがどう見守っていたのかという部分が、より深く響く。今回放送される特別編は、そうした視点からもう一度受け止められる作品になっている。
タイトルにある「17年目の卒業」が示すように、ここで描かれるのは、若き日の恋の余韻だけではない。亜紀を失った後、卒業式に出ることなく故郷を離れた朔太郎が、17年を経て、ようやく過去と向き合っていく物語である。そのきっかけを作るのが、松下演じる教師・谷田部だ。
松下が演じる谷田部は、朔太郎と亜紀の高校時代を知る担任教師である。生徒たちの青春を近くで見守ってきた彼女にとって、朔太郎はただの卒業生ではない。亜紀の死をきっかけに、卒業式に出ることもなく学校を去ってしまった生徒。つまり谷田部の中では、朔太郎の卒業はまだ終わっていない。教師という仕事は、生徒を送り出すことの連続でもある。入学し、成長し、卒業していく。その繰り返しの中で、教師は多くの生徒と出会い、別れていく。だが谷田部にとって、朔太郎だけはその流れの中に収めきれない存在だったのだろう。彼がどこかで立ち止まったままでいることを、彼女は17年もの間、心のどこかで気にかけていた。
谷田部という人物の魅力は、朔太郎を無理に変えようとしないところにある。教師として彼を気にかけ続けながらも、過去を整理しなさいと急かすことはない。亜紀を失った悲しみも、卒業式に出られなかった時間も、すぐに言葉にできるものではないとわかっているからこそ、彼が戻ってこられる場所を残しておく。あの時のまま閉じてしまった時間に、もう一度向き合うきっかけを差し出す。その距離感に、松下の落ち着いた佇まいがよく合っている。
近年の松下は、「ディアマイベイビー〜私があなたを支配するまで〜」のように、強い感情や執着を抱えた人物も印象的だった。親しみやすさや包容力だけでなく、時に見る者をぞくりとさせる圧の強さまで見せられる俳優だ。本作での松下の穏やかな声や表情からは、朔太郎を見守り続けてきた谷田部の悔いと愛情が伝わってくる。











