コミックス累計発行部数が全世界で1億部を突破している諫山創の大人気漫画「進撃の巨人」。人間を捕食する巨人たちから城壁の中で暮らす人類を守るために戦う、というこれまでにない大胆な着想と壮大な世界観で、空前の大ヒットを記録した。今年4月におよそ11年半に及ぶ連載に幕を下ろしたばかりの超大作アクション漫画だ。
スケールの大きさゆえに不可能と言われていた実写化に挑んだのが、特撮の名手と名高い樋口真嗣監督だ。日本映画、アニメ、特撮の各分野最高峰のスタッフが集結した実写映画として、2015年に前後編の『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』と『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』が製作された。
10月24日(日)にWOWOWシネマで放送されるこの実写版において、難点の一つとされてきた対巨人兵器である立体機動装置は、躍動感あふれるワイヤーアクションを駆使して表現。巨人の捕食シーンはグロテスク寸前までリアルに描いた。また、日本を舞台に設定して一部の登場人物の名前も日本人らしいものに置き換えるなど原作と異なるアプローチも新鮮だ。
キャストには三浦春馬、水原希子、長谷川博己、石原さとみ、本郷奏多など豪華布陣が集結した。ミカサを演じた水原は残酷な世界に立ち向かう強いヒロインを好演。長谷川は人類最強の男・シキシマ役を務め、原作にはない映画オリジナルの人物ながら圧倒的な存在感をみせた。兵器隊長・ハンジを演じた石原は、探究心の高さゆえにマッドな一面を持つ独特のキャラクターを見事に表現し、その再現度の高さは話題を集めた。
そんな中でもやはり印象に残る演技を披露しているのが、主人公・エレンを演じた三浦だ。籠の中の鳥のような抑圧された環境の中で、エレンは真実を求める熱い心を秘めながらも時に戸惑い、恐怖し、葛藤する。完全無欠のヒーローではない等身大の人間らしさが三浦の演技力によって自然に表現され、幼なじみを救うべく巨人と対峙するシーンや己を貫き運命に抗うと決めたシーンで見せる魂からの叫びも忘れられない。
なお、前後編に合わせて、原作ファンにも好評を博した石原さとみ演じるハンジも登場するスピンオフドラマ「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙」も放送される。再現度だけでなく原作との違いも楽しみながら、実写映画ならではのリアルな表現や壮大なスケールの作品世界に浸ってほしい。そうすれば漫画とはまた違う、一つのアクション超大作としても魅力的な映画に出会えるはずだ。
文=中川菜都美
放送情報
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN
放送日時:2021年10月24日(日)10:15~
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド
放送日時:2021年10月24日(日)12:00~
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙
放送日時:2021年10月24日(日)13:30~
チャンネル:WOWOWシネマ
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