坂口健太郎が「イノセンス 冤罪弁護士」で演じたのは最強のツンデレキャラ!

坂口健太郎は不思議な俳優である。どの作品のどの役でも印象は大きく変わらないし、本人の素とかけ離れた芝居にも見えないのに、ちゃんとそれぞれ違う人物になっている。技巧を凝らしてその役になりきるというより、役柄を自身に引き寄せるタイプなのかもしれない。表情や話し方、動き方がごく自然だからこそ、昨年、朝ドラ「おかえりモネ」に出演し、SNSのハッシュタグ「俺たちの菅波(※坂口の役名)」で人気となったような共感を呼び起こせるのだ。

2019年に主演した「イノセンス 冤罪弁護士」で坂口が演じたのは、不可能に近いと言われる冤罪事件の逆転無罪判決を勝ち取ったことのある若手弁護士の黒川拓役。リーガルドラマでよく説明されるように、日本では検察が起訴した事件での有罪率は99%だが、そもそもそんなに高い確率になるのはおかしいのではないか。警察による強引な捜査はなかったのか。そして、有罪判決の決め手となりがちな容疑者の自白は信じられるのか。拓はそれらの疑問をひとつひとつ検証し、科学的な再現実験も行ないながら、真相に近づいていく。彼が求めるのは、検察を糾弾することでも勝訴でもなく「事実を明らかにすること」なのだ。

坂口健太郎が出演する「イノセンス 冤罪弁護士」
坂口健太郎が出演する「イノセンス 冤罪弁護士」

(C)NTV

川口春奈、赤楚衛二らも出演
川口春奈、赤楚衛二らも出演

(C)NTV

普段は飄々としていて、整理整頓が苦手とだらしないところもある拓。だが、その胸には揺るぎない信念を持っている。捜査や前回の裁判が正しく行われなかったと思えば、相手が年上の検事でも、最高検察庁次長検事である父親でも、プレッシャーに屈したりしない。一方で、容疑者が「自分は無実だ」と主張しても、それを簡単に信じるようなお人好しではない。頭脳明晰で冷静さも兼ね備えているが、自分が大学生のときに女性の先輩が殺され、その彼氏だった先輩が犯人とされて自殺してしまった事件については、感情的になることも。最終話、その因縁の事件が決着した裁判で拓が発するメッセージは感動的だ。そして、弁護士事務所でコンビを組む楓(川口春奈)や父親の黒川真(草刈正雄)らも、拓の情熱によって本来持っていた正義心を呼び起こされていく。

坂口はそんな拓を緩急交えた演技で表現。拓は仕事以外では意外に単純な性格をしていて、ネットオークションに熱中したり高級弁当をほしがったりする様子でギャップを見せる。ドラマでの出世作「コウノドリ」の白川役から「東京タラレバ娘」のKEY役、2021年の「婚姻届に判を捺しただけですが」の百瀬役まで、坂口健太郎にツンデレ要素は欠かせないが、その中でも自分のペースを崩さない拓は、最強のツンデレキャラかもしれない。

「イノセンス 冤罪弁護士」は共演者の顔ぶれも楽しい。大河ドラマ「麒麟がくる」に出る前の川口春奈、坂口の事務所の後輩で、後に「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」でブレイクした赤楚衛二、現在、朝ドラ「カムカムエヴリバディ」でも好演している市川実日子らが出演。2020年に亡くなった志賀廣太郎が拓の理解者を演じているのも見どころ。そして、主題歌はKing Gnuが広く知られることになった「白日」。鮮烈かつ美しいメロディーがドラマを彩っている。

文=小田慶子

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放送情報

イノセンス 冤罪弁護士
放送日時:2022年2月19日(土)13:55~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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