人気ゲームを原作とした2.5次元舞台、ミュージカル『薄桜鬼』が、2022年4月に10周年を迎えることを記念して、最新3作品が時代劇専門チャンネルでテレビ初放送される。その中から「ミュージカル『薄桜鬼 志譚』土方歳三 篇」「ミュージカル『薄桜鬼 志譚』風間千景 篇」でそれぞれ主役を演じた、土方歳三役の和田雅成と風間千景役の中河内雅貴にインタビューを実施。当時を振り返ってもらった。
――放送されると聞いた時の感想はいかがでしたか。
中河内「シンプルにうれしかったです。もともとは女性向け恋愛ゲームなんですけど、意外と男性の方が熱くなってしまうような内容で、男女問わず楽しめるんじゃないかな。ミュージカルなので歌やダンスがあり殺陣もしっかりと見られるので、いろんな要素のある作品として楽しんで頂きたいです」
和田「時代劇好きで新撰組が好きな方って多いと思うんですよね。新選組を舞台にした人間ドラマが描かれているので、全く『薄桜鬼』を知らない人や2.5次元舞台を知らない人でも楽しめる良い機会なのかなと思います」
――土方と風間の2人による殺陣のシーンですが、当時を振り返って感じたことやこだわった部分を教えて下さい。
和田「剣を構えた時に癖を付けることを意識していて、役として土方を演じる時はあえて下段に構えるようにしていました」
中河内「演じた役が本当に強い"鬼"だったので、姿勢がなるべくぶれないように体幹を意識してやっていました。僕は殺陣がすごく得意なわけではないのでたまに手を間違えることがあるんですけど、雅成くんがちゃんと目で合図して付いて来てくれるので、生の舞台でも信頼しながらできました」
和田「マサさんとやっている殺陣は呼吸がだいぶ速かったと思うんですけど、目を見てやっているので危なくないし、むしろ楽しかったです。その日によって全然違うやりとりになるので面白くて、一緒にやれていることがすごく光栄でした」
――この作品で共演されて、お互いの印象をどのように感じましたか。
和田「以前から、マサさんが出演する舞台を何回も拝見していたんですけど、本当に嘘がなくて心に熱がある方だと思いました。だから互いに時間が合わない中で稽古をやっていましたが、マサさんが僕に寄り添ってくれるので甘えることができて、おかげで僕は土方として演じることができたなと思っています」
中河内「初めて稽古場で会った時に律儀に元気よくあいさつしてくれて、顔合わせの時など席も隣同士でいろいろ話せたこともあって、心の壁がなくなるまでが早かったんですよね。雅成くんは不思議と後輩という感じもしなくて、同じような熱量を持っている仲間という感覚がありました。あまりプライベートで会ったりすることはないんですけど、何かあれば電話をよくするようなつながりのある年下の役者仲間だと思っています。また共演したいですね」
――それぞれ座長をする上でどんなことを意識していましたか。
和田「僕が先に座長という立場でやらせて頂いたんですけど、どちらかというと座長として引っ張るというよりかは支えてもらっていました。だから、逆に雅さんの立ち振る舞いを「志譚 風間篇」で意識していたので、そこで教わったことを継続できるようにしたいと思っています」
中河内「座長だからっていうのはあまり意識してないです。そんなことを考えている余裕すらなかったし、むしろ周りの人がしっかりサポートしてくれることによって自分がセンターに立てていることを肌で感じていました。実は僕の目標は"最強の2番手"になることなんですけど、そのためにはセンターも張れる必要があるので、「志譚 風間篇」で主演をすることで自分なりに進むことができたんじゃないかなと思っています」
――千秋楽を迎えた時の気持ちを教えて下さい。
和田「最後のカーテンコールで涙を流しているんですけど、追い込まれながら全部を出し切ったからこそ涙が出てきたんだと思い泣いてもます。僕は本来、人前で涙を流すことを良しとしていないですけど、マサさんがいいと受け入れてくれる空気を作ってくれたことが当時はすごくありがたかったですね」
中河内「すてきな千秋楽でしたね。雅成くんがあんなきれいな雫を垂らすとは思っていなくて(笑)毎日身を削る思いで舞台に立って、最後の最後に自然と込み上げてきた涙はなかなか経験できるものではないんですよね。僕も涙した舞台は数回しかない。でも、それぐらい精神的にも追い込んでやっていたからこそ、素晴らしい涙が自然と出てきたと思うので、そういう場に立ち会えただけでもすごく良い経験をさせてもらいました」
――これまでたくさんの役を演じてきた役者人生の中でこのミュージカル『薄桜鬼』という作品は、2人にとってどんな存在ですか。
和田「この作品に出て本当にいろんなことを経験して、人生も役者観も全てが変わりました。これまで自分の中ではどの作品も全力でやってきたつもりなんですけど、また違った作品との向き合い方や生き方を知ることができたので、間違いなく何回かある人生の分岐点の1つだと思っています」
中河内「久しぶりに主演というものをやらせて頂いて、スケジュール的にも厳しい中で皆が明るく一致団結することもできたし、自分が先頭に立った時と一番後ろに立った時のそれぞれを体験させてくれた作品。自分のキャリアとしても1人の人間としても大きくジャンプできたなという意味でトランポリンのようだと思いました。すごく感謝しています」
――多くの作品に出演されていますが、2.5次元というジャンルをどのように受け止めていますか。
中河内「もはや単なる"イケメン舞台"というだけではない。昔のようにエネルギーだけではなく技術も備わって、逆に"2.5次元"だと括るのがふさわしくないんじゃないかなと思うくらい普通の舞台と意識の上での変わりはないです。だから怖いことに、"良い舞台"と"良くない舞台"の差がより明確になってきたなと感じているので、僕たちがしっかりと底上げして教えていく立場になってきたのかなと感じています。いろいろな作品で育ててもらった恩を返していきたいので、僕ができることはやっていこうと思います」
和田「2.5次元舞台っていうと色モノみたいに思われているところもあるんですよね。でも本当に魅力的な役者さんがたくさんいて、それぞれがレベルアップするために努力をしてきているので、もっと2.5次元舞台の魅力が伝わるように広げていきたい。だからもっと売れていきたいと思います(笑)」
取材・文・撮影=永田正雄
ヘアメイク=城本麻紀
スタイリスト=MASAYA
衣装協力 ACUOD by CHANU、ロケット・ステュディオ
放送情報
「ミュージカル『薄桜鬼 志譚』土方歳三 篇」
放送日時:2022年3月21日(月)22:00~ほか
「ミュージカル『薄桜鬼 志譚』風間千景 篇」
放送日時:2022年3月28日(月)22:00~ほか
「ミュージカル『薄桜鬼 真改』相馬主計 篇」
放送日時:2022年4月4日(月)22:00~ほか
チャンネル:時代劇専門チャンネル
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