若き仲間由紀恵藤木直人が演じるラブサスペンス映画『g@me』

「容疑者Xの献身」をはじめ、映像化作品も続々ヒットさせている人気作家・東野圭吾原作によるサスペンスが、映画『g@me』(2003年)。原作小説のタイトルは、「ゲームの名は誘拐」で、映画化するにあたり、結末や登場人物の性格などを大幅にアレンジしている。原作者の東野は、「映画はまた別物」だとして快く承諾。じつはコアな東野ファンには原作の評判は決して高くなく、映画化のハードルは高くなかったとはいえ、本作の映画化は成功したと評価されている。

東野圭吾原作の映画『g@me』
東野圭吾原作の映画『g@me』

(C)2003 フジテレビ 東宝 電通 ポニーキャニオン

この映画は、緻密に計画された身代金3億円の狂言誘拐を企てた男女の運命を、藤木直人、仲間由紀恵の人気俳優共演で描いたもの。自身が手がけた巨大プロジェクトをつぶしたクライアントに復讐を誓う広告プランナーの佐久間(藤木)が、父親を憎むクライアントの娘・樹里(仲間)と共謀。身代金3億円を狙った狂言誘拐を計画するというストーリーだ。

当時は屈指のイケメン俳優として勢いがあった藤木と、美形ながらも「トリック」シリーズなどで見せる個性的な演技でも話題を呼んでいた仲間という美男美女俳優が主演し、狂言誘拐という頭脳ゲームに挑んだ男女の運命がスリリングに描かれる。原作に対して、恋愛要素を強めにしている点は、稀代の美男美女が主演しているだけに当然とも思えるが、それが本作の魅力を増す要因ともなっている。仲間の痛快な小悪魔ぶりと、終始強気で接しながらも、次第に仲間の魅力に翻弄されていく藤木の演技が抜群だ。どう考えても恋に落ちそうな感じのふたりなのだが、当初はなかなかくっつかない。それでも、紆余曲折を経てふたりが愛し合うシーンは美しくも切ない名場面となっている。

(C)2003 フジテレビ 東宝 電通 ポニーキャニオン

当初は、佐久間の役はもう少しワイルドで強めなキャラの俳優のほうがふさわしいような印象も感じられるのだが、ストーリーが進むに連れてキャスティングの意図に納得させられるはず。特に後半の怒涛の展開を見るにつれ、「この役は藤木でなければならない」という必然性に気づかされるのだ。

ふたりが仕組んだ狂言誘拐は当初は計画通りに進んでいき、「うまくいきすぎ」という印象もある。ところが、物語の後半では見る者をいい意味で何度も裏切ってくれる。そんな二転三転で畳みかけるストーリー構成は見事というほかない。

本作の監督は『象の背中』(2007年公開)の井坂聡。『破線のマリス』(2000年)など、サスペンス作品に定評のある監督だけに、スピーディで緊迫感のある演出が冴えている。一方で、「トリック」シリーズでも再三ネタにされているガッツ石松と椎名桔平の両名を絶妙な使い方で登場させる(特にガッツ石松の使い方には笑ってしまった...)など、映画的な遊び心にクスリとさせられるシーンもチラホラ。

本来、このような「原作小説の設定を大幅に変える」映画のパターンは、失敗するケースも少なくない。その点で、この映画は小説の持ち味であるサスペンス要素を上手に生かしながら、ふたりの主演俳優の魅力と力量をフル活用することで、巧みに仕上げて成功した貴重な作品といえるだろう。当時の仲間と藤木は、軽妙なタッチの恋愛ドラマには最適な配役といえるし、美形ながらもコメディもうまい。特に仲間は、当時から女性の好感度が高い女優だった。彼女の演技には男への媚びや「あざとさ」が感じられず、美人なのに同性からあまり妬まれないタイプなのだ。

恋愛ドラマを主軸にしたとはいえ、東野原作らしい鮮やかなどんでん返しも待っている。共演陣では、樹里の父親・葛城を演じる石橋凌が誰よりも光っている。

公開から20年近く経つため、今見るとガラケーなど懐かしいアイテムも多数あり、そんな意味でも楽しめる作品となっている。映画『g@me』は仲間由紀恵、藤木直人の演技力を再確認できる貴重な1本といえそうだ。

文=渡辺敏樹

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放送情報

g@me 
放送日時:2022年7月16日(土)11:15~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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