幼い頃から役者として活躍していた三浦春馬。出世作となった映画『恋空』(2007年)から早くも15年が経つ。当時は「14才の母」(2006年)などヒット作が続き、世間に広く存在を知られるようになったタイミングだが、その直前、当時16歳の三浦が印象深い演技を披露したのが「ドラマW CHiLDREN チルドレン」(2006年)だ。
伊坂幸太郎による連作短編小説集で、舞台化もされたヒット作「チルドレン」を原作にしたこのドラマ。家庭裁判所調査員の主人公・武藤が経験する一見関係ないように思えるような事柄、人物たちが結びついていく様子をサスペンスフルに描く作品だ。
監督は映画『東京タワー Tokyo Tower』(2004年)で知られ、三浦とは映画『アキハバラ@DEEP』(2006年)でも現場を共にする源孝志。第33回放送文化基金賞テレビドラマ番組賞を受賞し、のちに映画としても劇場公開された。
家庭裁判所で働く内向的な主人公を坂口憲二が演じたほか、その職場の先輩・陣内役に大森南朋、巻き込まれた銀行強盗事件で武藤が一目惚れする女性の美春役に小西真奈美...と、実力派キャストが集結した中で三浦が演じたのは、万引きで補導される少年の志朗。彼の父親(國村隼)に対する違和感を感じさせる態度が物語を動かしていくことになる重要なキャラクターだ。
当時の三浦は、「いま、会いにゆきます」(2005年)や「アンフェア」(2006年)など話題のドラマに立て続けに出演、サーフィンと出会うひと夏を描いた青春映画『キャッチ ア ウェーブ』(2006年)では主演を果たしたばかり。その後は、主人公の彼氏役を演じた「14才の母」や、見た目は派手だが優しい心とある秘密を抱えたヒロ役で第31回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した『恋空』など、まさにブレイク真っ只中の時期だ。
あどけなさを残した顔つきの三浦は、チャーミングな笑顔をのぞかせ、いかにも育ちの良さそうな素直な少年像を表現。『キャッチ ア ウェーブ』でも共演している坂口演じる武藤を慕う表情はどこまでも自然だ。それと同時に、打ち明けられない秘密を抱えた複雑な一面、思春期ならではの葛藤や反感なども同時に感じさせる繊細な演技を披露している。
本作でその後の大ブレイクも納得の演技を見せている三浦春馬。ブレイク直前の少年らしさを残した初々しい表情を改めて感じ取ってほしい。
文=HOMINIS編集部
放送情報
ドラマW CHiLDREN チルドレン
放送日時:2022年7月15日(金)16:45~
チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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