郷ひろみが新選組一番隊組長・沖田総司に！繊細な演技やキレのある殺陣も注目の時代劇「沖田総司－華麗なる暗殺者－」

幕末の動乱期に散った新選組一番隊組長・沖田総司。結核を患い夭折したという境遇や天才剣士と謳われた話から、見目麗しい若者というイメージを持たれがちな存在である。数々のドラマ・映画に登場し、古くは北大路欣也や草刈正雄、近年では山田涼介ら名だたる二枚目たちが沖田総司に扮してきた。そして、今年8月デビュー50周年を迎える郷ひろみもその1人。若き日の郷が沖田を演じた作品が「沖田総司－華麗なる暗殺者－」(1982年)だ。

近年は歌手のイメージが強いためご存知ない方も多いのではないだろうか。実は、歌手デビューより先に1972年のNHK大河ドラマ「新・平家物語」で芸能界デビューしていた。その後もドラマや映画に多数出演し、10年目にしてアイドル歌手としてだけではなく役者としても高い評価を得ていた。8月1日(月)に時代劇専門チャンネルで放送する本作では、数多くの時代劇や仁侠映画で知られるベテラン監督・山下耕作の演出のもと、夭折の天才剣士・沖田総司役を好演している。

舞台は新選組と尊攘派の抗争が激化する幕末の京都。傍若無人な局長・芹沢鴨を暗殺した土方歳三ら新選組の面々は、長州藩士らが会合している池田屋を襲撃するが、結核を患っていた沖田総司は襲撃の最中で喀血してしまう。若くして結核に倒れた沖田の青春を描く時代劇。郷は総髪にすらりとしたスタイルで、色黒で長身と伝えられる容姿の通りに颯爽と登場する。名取裕子演じる祇園の芸妓・小浪へ向ける愛嬌のある微笑みや、子供たちとお手玉やセミ採りに興じる姿もまだあどけなく可愛らしい。が、ひとたび戦闘となれば眼光鋭く天性の剣術を見せる。白と浅葱色のダンダラ羽織もよく似合い、池田屋で大勢の浪士を相手に披露するキレのある殺陣は華麗で見応えがある。純粋な心を持つがゆえ、人を殺すことへの葛藤や親しくしていた山南敬助への複雑な心情も繊細に表現した。ふとした瞬間に暗くなる瞳からは己の命の短さに気付きつつも生きようとする意志が感じられる。ただの非情な暗殺者ではなく、迷い苦しみながら懸命に生き抜いた沖田を儚く力強く演じきった。

還暦を過ぎてなおエネルギッシュなパフォーマンスを見せる郷ひろみ。久々の主演作となる特集ドラマ「定年オヤジ改造計画」が7月25日(月)に放送される。4月から開催している50周年アニバーサリーの全国ツアーでも、各地のファンに元気を与え続けている。今もその美声と美男ぶりは健在だが、本作で若き日の初々しく見目麗しき姿を拝むのもまた一興だろう。

文＝中川菜都美

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