宙組トップスター・真風涼帆があの名探偵・シャーロック・ホームズに!シャーロキアンも必見の宝塚歌劇『シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-』 !

真風涼帆
真風涼帆

2021年、宙組で上演された『シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-』は、世界中で愛されるシャーロック・ホームズの物語をタカラヅカで初めて舞台化した作品だ。作・演出は生田大和。自身も子どもの頃ホームズの世界に夢中になったというだけあって、随所にこだわりを感じさせる舞台となった。

シャーロック・ホームズを演じるのは宙組トップスターの真風涼帆だ。「飄々として偏屈な才人だが、どこか人情味がある。そして、ひとたび事件となると子どものように夢中になる」。そんなシャーロック・ホームズというキャラクターを、トップスターとして円熟期を迎えた真風がイメージ通りに表現してみせる。

人気漫画を舞台化した『天(そら)は赤い河のほとり』のカイル、『白鷺の城』では陰陽師の安倍泰成、ミュージカル『アナスタシア』のディミトリ、そして現在は『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』のコブラなど、これまで多種多彩な役を演じてきた真風涼帆。2023年には『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』にて、ジェームス・ボンドを演じることも発表されている。この作品でも、きっと新たな真風の一面を知ることができるだろう。

真風涼帆、潤花
真風涼帆、潤花

©宝塚歌劇団  ©宝塚クリエイティブアーツ

ホームズの相棒として知られるワトスン(桜木みなと)は天才の対局にある常識人、そしてホームズの仕事の誠実な記録者として存在感を醸し出す。恋人メアリー(天彩峰里)との仲の良さも微笑ましい。

スコットランド・ヤードのレストレード警部(和希そら)は、ややお疲れ気味な中間管理職の雰囲気が滲み出る。ホームズの下宿の世話焼きな女主人、ハドスン夫人(遥羽らら)や、外交官として活躍する、ホームズの兄マイクロフト(凛城きら)など、原作シリーズでお馴染みのキャラクターも次々と登場する。

幕が開くと、不穏な空気が立ち込める19世紀末のロンドンへと一気に引き込まれる。最初にホームズが立ち向かうのは、実際にロンドンの人々を震撼させたという「切り裂きジャック」事件だ。「もしホームズがこの事件に出会ったら?」という想定が多くの人の興味を惹きつけてきた事件でもある。

そして、『ボヘミアの醜聞』のアイリーン・アドラーが登場し、ホームズを翻弄していく。「恋愛に関心なし」のホームズがただ一人「あの女性(ひと)」と呼んだ女性である。これをトップ娘役の潤花が演じる。2人の関係がより深く描き込まれるのもタカラヅカ版のお楽しみだ。

後半は一転して、一触即発なヨーロッパ諸国の国際関係にも切り込んでいく。19世紀末といえば西欧諸国が植民地獲得競争に血眼になっていた帝国主義の時代であり、また、資本主義が急速に発達し、資本家と労働者との対立構造が浮き彫りになった時代でもある。

その中で、あらゆる「争い」の支配を目論む存在として登場するのが、ホームズの宿敵・『最後の事件』のモリアーティ教授だ。芹香斗亜が創り上げるモリアーティは、悪魔というよりむしろ堕天使のような美しい佇まいがかえって恐ろしい。こうして後半は、ヴィクトリア女王(瀬戸花まり)までも巻き込み、スケールの大きな物語へと一気に展開してゆく。

芹香斗亜
芹香斗亜

©宝塚歌劇団  ©宝塚クリエイティブアーツ

この作品を観たシャーロキアン(シャーロック・ホームズの熱狂的なファン)は、あちこちに仕込まれたホームズネタを発見してニヤリとするに違いない。しかし、そうでない人も、きっとこの作品をきっかけに、世界中で聖書の次に読まれているという「ホームズもの」の魅力に触れることができそうだ。

文=中本千晶

この記事の全ての画像を見る

放送情報

『シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-』 ('21年宙組・東京宝塚劇場・千秋楽)
放送日時:2022年9月4日(日)21:00~ 
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

関連記事

記事の画像

記事に関するワード

関連人物