大盛穂は育成選手から「カープ野球の申し子」へ。無名からのサクセスストーリー

プロ2年目の今季、6月、7月にリーグ最多タイの24安打を記録し、イースタン、ウエスタン両リーグが制定する「スカパー!ファーム月間MVP賞」に輝いた大盛穂(おおもり・みのる)。7月下旬には一軍昇格も果たした大盛のサクセスストーリー序章を振り返る。

■4拍子が揃った選手

一軍初昇格した2日後の7月26日の横浜DeNA戦。大盛穂は代打として打席に立つと、セカンドへのボテボテの打球で内野安打をもぎ取る。これまでの野球人生を象徴するような泥臭い一打だった。

大阪府出身の大盛は静岡の飛龍高校で3年間を過ごした。当時から俊足巧打で鳴らし、3年春の県大会の常葉菊川戦で4打数4安打をマーク。たまたま他の選手を目当てにスタンドで視察していたプロのスカウトが「あの選手は誰だ」とざわついたというエピソードが残っている。だが、3年夏は3回戦で敗退。甲子園出場経験はなく、全国的には無名の存在だった。

その後、静岡産業大に進学。4年次には首位打者とベストナインを獲得した。大盛が4年生に上がったと同時に監督に就任した萩原輝久氏が振り返る。

「大盛は走攻守の三拍子に加え、人間性も素晴らしく、4拍子ある選手だと見ていました。どんなことに対しても自分で考えて黙々と取り組んでいましたね」

シャープなスイングで広角に打ち分け、50メートル6秒0の俊足で塁上を駆け抜ける。スピード感のあるプレーが最大の魅力だった。当然ながら、卒業後は上のレベルでのプレーを目指した。

しかし、数社の社会人チームの練習会に参加したものの、結果的に採用には至らなかった。当時の状況を萩原氏が明かす。

「社会人を6、7社くらい回ったのですが、なかなか決まらなくて。最終的にプロ志望届けを出して、育成での指名を待ったという状況でした」

ここが運命の分岐的だった――。

2018年10月25日。午後5時のドラフト会議開始から2時間46分後だった。広島東洋カープから育成1位で指名を受けた。大盛は「正直なところ、信じられない気持ちがあります。自分の大好きな広島東洋カープに選んでいただき嬉しいです」とホッとした表情を浮かべた。

■「カープ野球」の申し子に

大盛はプロ1年目からアピールする。育成ながらファームで109試合に出場し、16盗塁をマーク。持ち味の脚力を存分に発揮した。スタッフの中では「二軍の外野手で一番良い」との声も囁かれた。そして、11月のキャンプ中に支配下登録に。サクセスストーリーは続く。

2年目のシーズンも、順調に滑り出す。主に1番打者として高打率をマーク。6月、7月はリーグ最多タイの24安打を記録し、イースタン、ウエスタン両リーグが制定する「スカパー!ファーム月間MVP賞」に選ばれた。前述の萩原氏は、その実直な姿勢が実を結んだと喜ぶ。

「正直、すぐにプロではどうかな思っていましたが、ここまで伸びた要因は本人の努力でしょう。あとはカープという球団のスタイルに彼が上手くマッチしたんじゃないか思うんです」

伝統的に機動力を重視する広島に現れた申し子。育成から這い上がった男の躍進は始まったばかりだ。 

文・写真=栗山司

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