新型コロナウイルスの影響により、他競技と同様に緊急対応を余儀なくされているフィギュアスケートの2020-2021シーズン。そんな中、3月22日(月)~28日(日)に世界のトップスケーターが一堂に会し、世界一を決定する「ISU世界フィギュアスケート選手権2021」が、スウェーデン・ストックホルムにて無観客開催される。2年ぶりの開催ということもあり、世界的注目が集まっている同大会の模様は、4月2日(金)よりJ SPORTS 4にて全種目・全滑走を順次放送予定だ。
男子シングルスには、日本から羽生結弦、宇野昌磨、鍵山優真の3選手がエントリー。中でも注目は昨年末に行われた「第89回全日本フィギュアスケート選手権」(以下、全日本選手権)で直接対決した羽生選手と宇野選手だ。彼らは昨年GPシリーズの出場もなく、国際舞台に姿を見せるのはおよそ1年ぶりとなる。
羽生選手にとっての今シーズンは、活動拠点であるカナダに戻ることができず、単独での国内練習という難しい調整を強いられてきたが、持ち前のメンタルの強さは健在。シニア転向以来最長となる約10ヶ月の実戦ブランク&帯同コーチ不在という苦境にも関わらず、全日本選手権での優雅かつ力強いスケーティングを見せ、フリーでは参考記録ながら自己ベストを上回る215.83点をマーク。改めて、全日本王者たる凄みに圧倒されたファンも多かったのではないだろうか。
一方、宇野選手も出場を決めていたGPシリーズ第4戦のフランス杯が中止になり、実戦から長らく離れていた中で全日本選手権を迎えた。結果的には総合2位となり、大会5連覇は逃したものの、試合後には「これまでで一番大会に出てよかったと思える試合だった」と、大会出場への喜びと結果を素直に受け止める心の余裕も見せていたのが印象的だった。
そんな2人に立ちはだかるのが、世界王者ネイサン・チェン選手だ。今季はGPシリーズ初戦のアメリカ杯を難なく制し、大会4連覇を達成。全米選手権でも、若手ヴィンセント・ジョウの追随を振り切り、5連覇を成し遂げるなど好調だ。
チェン選手と羽生選手が"異次元の戦い"を繰り広げた2019年大会では、チェン選手が僅差で優勝をさらっただけに、今大会で羽生選手が2年越しのリベンジを果たすことができるか...その動向に世界中から熱い視線が注がれている。
男子シングルスでは、全日本選手権で3位に入った鍵山選手の活躍ぶりも気になるところ。ジュニア選手にもかかわらず4大陸選手権で3位に入った彼は、今シーズンもGPシリーズのNHK杯を制するなど好調をキープしている。世界のトップスケーター相手に、シニア1年目の今大会でどこまで食い込めるか期待したい。
女子シングルスでは、アンナ・シェルバコワ選手、アレクサンドラ・トゥルソワ選手に加え、熾烈な代表争いを勝ち抜いた24歳のエリザベータ・トゥクタミシェワ選手らによる強豪ロシア勢の実力が抜きん出ている。ただ、ロシアは組織的なドーピング問題で揺れており、同国代表ではなくロシア・フィギュアスケート連盟の選手としての出場になる見通しだ。
日本勢では全日本選手権の上位3選手、紀平梨花、坂本花織、宮原知子が出場を予定している。中でも紀平は全日本選手権のフリーで自身初となる4回転サルコウを決め、非公認ながら自己ベストを上回る総合234.24点を記録するなど、好調なだけに「ISU世界フィギュアスケート選手権2021」にかかる期待も大きい。
また、近年これまでにないほど話題を集めているのがアイスダンスだ。その立役者と言える高橋大輔(※「高」は正しくは「はしご高」)と村元哉中のペアは、村中の怪我を考慮して今大会への補欠登録を辞退したが、全日本王者の小松原美里&小松原尊ペアの活躍が期待されている。
北京冬季五輪のプレシーズンとなる今年、今回の成績いかんによって、翌年の世界選手権の出場枠が決まるだけでなく、2022年開催の北京冬季五輪における最大3つの出場枠にも関わる重要な意味を持つ。コロナ禍でまだ予断が許さない状況ながら、日本勢がどのような活躍を見せてくれるのか、心待ちにしたい。
文=HOMINIS編集部
放送情報
ISU世界フィギュアスケート選手権2021
放送日時:2021年4月2日(金)20:00~
チャンネル:J SPORTS 4
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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