【前編】大阪出身で「なんで」オリックスファンなの?大手建設会社を5カ月で退職したB-モレル、人生を懸けて応援するほどの"運命"
- スポーツ
- 2022.08.19
■電撃引退、そして意志を継いで......
エピソードとしてよく覚えているのは、2017年9月頃、舞洲にモレルを観に行ったときのことです。スタメンで出ていたけど、途中交代しました。
普段はファームの試合が終わった後、選手が帰っていく出口で待っているとサインをもらえるから出待ちをしていたけど、モレルは現れなくて。
試合中に帰ったのかな、やる気ないやん。俺、ファームに来た意味ないやん......と、ちょっと失望して帰ったんですよ。裏切られたみたいな気持ちで。
翌日、「モレル引退」というニュースが出ました。実家の都合で、家族経営のブドウ農園を継ぐことになった、と。たぶん前日に途中で帰ったのは、引退の打ち合わせとか、実家がいろいろ大変やからだろうなって思いました。
やっぱり、寂しかったですね。2017年も一軍での出場は38試合だったけれど、打率.276と全然活躍できなかったわけではないので。もしかしたら、次の年も契約延長があるかなって思っていました。
活躍できずに戦力外になるなら、諦めがつくじゃないですか。でも、まだできるのに引退というのはもどかしかったです。
ただ、実家を継ぐってことなので。しかも、ブドウ農園なので......。
日本での最後の試合は広島で行われたウエスタン・リーグのビジター戦で、選手たちから胴上げされていました。その場に行くことはできなかったけれど、最後から2番目の試合は見ていたんだなって。そんなことを思い出しながら、彼の決めたことを応援するしかないと思いました。
YouTubeへの投稿は以前からやっていましたが、モレルが引退を決めた2017年11月、僕は顔出ししてYouTuberになりました。そこで名前をどうするかとなり、モレルが引退して日本からいなくなってしまったということで、モレルが日本でやり残した意志を継ぎたいなっていうのもあって、「じゃあ俺がモレルになってやろう!」と「B-モレル」にしたんですよね。「B」はバファローズであり、名前のブレットでもあります。
■最下位から優勝。オリックスからの"メッセージ"
昨年、ご存知のようにオリックスは優勝しました。じつは前の年の2020年に僕はYouTuberを「引退宣言」したんです。大学院を卒業して就職することが理由でした。
当時も一応知名度はあったけれど、今ほどの規模ではなく、職業にするのは全然まだまだという状況でした。じゃあいっそ今年でスパっと辞めてしまって、と思っていたんですよね。「だから今年絶対優勝しろ。俺、もうYouTuberやめるから」って言ったら、最下位で......。最下位で終わるわけにいかないので何とか会社で働きながらもう1年応援してみようということで、引退撤回して続けました。
でも、かなり忙しい会社で、働きながらYouTubeに以前と同じような熱量を注ぐのは難しかったです。一方、B-モレルという立場でオリックスを応援できて、いろんな人に支持されている自分もいます。会社で仕事をずっと続けたら、絶対YouTuberの活動は両立できないと思いました。
それで入社5カ月で辞めましたけど、迷いましたね。大学院まで行ってちゃんと就職活動して、一流企業と言われるような会社に入っているし、そんなにギャンブラーな性格でもないので。それでも辞めることにしたのは、YouTuberとしての活動一本になるわけでなく、何とかして両立できる道を探せればいいかなと思い、今の会社にいるべきではないという結論に至ったからです。
僕がそんな決断をした年に、オリックスは25年ぶりの優勝を飾りました。たぶん、引退宣言した2020年に優勝していたら、本当にYouTuberを辞めていたと思います。オリックスが優勝したから心置きなく、普通に会社員として働いていたでしょうね。
そこを1年遅らせて優勝したのは、僕に「YouTuberを続けろ」って言っているのかな、みたいな(笑)。「お前はもっとイバラの道を生きろ」というオリックスからのメッセージなのかなと受け取りました。だからこそ今後も、一軍、ファームともにそれぞれの楽しみ方を追求していきたいと思っています。
インタビュー/構成:中島大輔 企画:This、スカパー!
【インタビュー後編はこちら】 ※後編は8月20日10時00分に公開予定
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