ファッションも話題の個性派だが将棋は本格派!佐藤天彦名人の強さ

現在、将棋界においてタイトルは「竜王」「名人」「叡王」「王位」「王座」「棋王」「王将」「棋聖」の8つあるが、最も歴史がある「名人」と最も優勝賞金が高い「竜王」は別格とされている。そんな「名人」に3期連続で就いているのが佐藤天彦だ。

福岡県出身の佐藤は小学5年生で奨励会入り、その後、順調に昇段、昇級を重ねる。将棋でプロ入りするには、基本的に半年かけて行われる三段リーグで上位2名に入ることが必要(他にアマチュアからの編入試験がある)。ただし例外があり、次点(3位)を2度取っても四段に昇段することができる。しかし、通常の四段と違い、最初は順位戦に参加できないフリークラスでスタート(好成績を収めれば順位戦に参加できるようになる)。それでも多くの棋士は不安定な三段の身分よりも、フリークラスからの四段昇段を選ぶが、唯一その制度を蹴って三段リーグで2位以内を目指すことを選んだのが佐藤だ。2004年に2度目の次点を取って一度は昇段を蹴ったものの、2年後の三段リーグで2位となりプロ入り。18歳でプロ棋士としての生活をスタートさせた。

プロ入り後は2度「新人王戦」で優勝。勝率も高く、「順位戦」でも順調に昇級を続けた。佐藤がブレイクしたのは2015年度。一流棋士の証であるA級棋士(「順位戦」最高クラスのA級で戦う10人)となり、「王座」と「棋王」のタイトル戦にも登場。「王座戦」は羽生善治に、「棋王戦」は渡辺明に敗れたが、「順位戦」は快走。A級1期目で8勝1敗の好成績を収め、「名人戦」七番勝負への出場を決める。そして、2016年度の「名人戦」七番勝負で羽生に挑んだ。第1局で敗れたものの、第2局で羽生が詰み(勝負を決める一手)を逃して逆転負けを喫し、流れが変わる。終わってみれば、第2局から4連勝で佐藤が「名人」を奪取し、タイトル初戴冠となった。同年度には「叡王戦」でも優勝し、初タイトルに続いて初の全棋士参加棋戦で優勝を飾り、一躍トップ棋士となる。

佐藤はファッションにこだわりを持っていることでも有名で、対局料の大半を服に注いだ時期もあったという。タイトル戦に出場した際は、着物にもこだわりを見せて注目を集めた。クラシックを好み、マントを着用する姿から「貴族」の愛称がつけられている。ある雑誌で自宅の風景が掲載された際、ゴージャスな家具やインテリアで彩られ、さながら城のようだと話題を呼んだ。

(C)囲碁・将棋チャンネル

棋風は居飛車(飛車を初期位置の右側に据えて戦う)党で、プロ棋士全体では攻め将棋が多い中、佐藤は受けに重点を置き、腰の重い戦い方をする。個性派の棋士だが、将棋は実に本格派だ。初のタイトル防衛戦となった2017年度の「名人戦」では、同じくA級1期目からの挑戦となった稲葉陽八段を4勝2敗で退ける。しかし、その後はやや成績が落ち込み、2017年度は負け越し。そんな状態で迎えた2018年度は、6人によるプレーオフを勝ち抜いた羽生のリターンマッチとなった。双方の調子から羽生優勢を予想する声が多い中で、七番勝負に入ると佐藤が調子を取り戻し、4勝2敗で防衛。「名人戦」では史上6人目の3連覇を達成した。さらに、完全復活した佐藤は今期、囲碁・将棋チャンネル主催の持ち時間が少ないテレビ棋戦「銀河戦」でも初優勝し、早指しでも強いところを見せた。今後も盤上はもちろん、華やかな盤外での姿にも注目だ。

文=渡部壮大

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