藤井聡太が「どんな時でも温かく見守ってくれる」と信頼する杉本昌隆との師弟関係

写真左から、藤井聡太、杉本昌隆
写真左から、藤井聡太、杉本昌隆

藤井聡太七段の師匠としても知られる杉本昌隆八段。2人の付き合いは古く、藤井が奨励会に入る前の研修会時代から、杉本はその才能に注目していた。当時、藤井が感想戦で示していた妙手などを記録しており、人物を見る眼力がうかがえる。そして、藤井が奨励会を受験する時には、他の棋士の弟子になってしまうのではないかと、ヤキモキしていたという。

藤井が有段者になった後は、関東や関西の棋士にも紹介して研究会の場なども提供していたといい、藤井が驚異的な速度で力を伸ばしていく手助けにもなったはずだ。また「藤井がプロになれなかったら、責任をとって引退する」と語ったこともあり、藤井への信頼は絶大だ。藤井も信頼に応える形で、見事に史上最年少でのプロ入りを決めた。

(C)囲碁・将棋チャンネル

杉本の師匠は故・板谷進九段。板谷一門は師弟の結び付きが強く、杉本も「弟子が師匠に対しても、物を言いやすい雰囲気を目指している」と語っている。また、プロ入り前の19歳で師匠が亡くなったため、師弟で酒をくみかわす機会がなかった杉本は、将来、藤井が成人した時に一緒に酒を飲むのを楽しみにしているという。一方、師匠のどんなところが好きかとイベントで聞かれた藤井は「どんな時でも温かく見守ってくれるところ」とコメントしている。

名古屋の名伯楽として有名になった杉本だが、「竜王戦」の最高位であるランキング戦1組に8期在籍。2001年の「第20回朝日オープン選手権」(現:朝日杯)では、決勝五番勝負に進出したこともあり、振り飛車(序盤で右にある飛車を左へ展開する戦法)党の実力者だ。粘り強い棋風で、陣形を再構築するような息の長い将棋を得意としている。また、「相振り革命」など将棋の技術書でも名著を多く出していて、定跡の発展にも大きく寄与している。藤井の驚異的な昇段速度により七段で並ばれたが、2019年2月に勝数の規定を満たして八段に昇段した。

(C)囲碁・将棋チャンネル

藤井がプロ入り後は、2018年3月に「第68期王将戦」一次予選で師弟戦が実現。千日手(双方が同じ手を繰り返して勝負のつかない状態)指し直しの末に藤井が勝利している。将棋界では弟子が師匠に勝つことを「恩返し」と言う。杉本は後にイベントで、その対戦について「想定通りの局面に進んだが、最も厄介な順を指されて手強いなと思った」と語っている。

2018年度の第77期順位戦C級1組で、杉本は藤井と共に開幕から8連勝。昇級枠の上位2人に入り、「師弟同時昇級か?」と話題になった。結果は9回戦で共に敗れ、続く10回戦はどちらも勝利。順位の差で杉本はB級2組へ復帰し、藤井は昇級ならずC級1組に残留と明暗を分けた。杉本の50歳でのB級2組昇級は史上4番目の年長記録で、ベテラン健在を世間に示した。師匠が弟子の昇級を阻んだかのような結果だが、競っていた近藤誠也六段、船江恒平六段も最終戦で勝利を挙げ、杉本が敗れていたら師弟共に昇級を逃すところだった。

杉本は現在、囲碁・将棋チャンネルで放送中の「第27期銀河戦」Gブロック7回戦に登場。相手の増田康宏六段は若手強豪の一角で、藤井に黒星をつけたこともあり、2018年の勝利は結果的に藤井の歴代最高勝率記録更新を阻む1勝にもなった。師弟共々、今後の戦いぶりから目が離せない。

文=渡部壮大

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放送情報

第27期 銀河戦 本戦Gブロック7回戦 杉本昌隆七段 vs 増田康宏六段
放送日時:2019年4月9日(火)20:00~
第68期 王将戦 一次予選 杉本昌隆七段 vs 藤井聡太五段
放送日時:2019年4月28日(日)13:00~
※ほか、4月28日(日)~5月6日(月)は「藤井聡太プラチナウィーク」と題して藤井聡太を特集
※段位は対局当時
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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