将棋界の若き天才・豊島将之名人の歩みを振り返る

豊島将之名人
豊島将之名人

5月に名人位を獲得し、一気に三冠へと駆け上がった豊島将之名人(王位・棋聖)。29歳の若さで棋界の第一人者となった天才であるが、タイトルまでの道のりは決して簡単ではなかった。

■平成生まれのプロ棋士として注目を集める

豊島は9歳で奨励会6級入会。小学3年生での入会は最年少記録である。順調に昇級を重ね、11歳で1級昇級。その後は少し昇段のペースが落ち、プロ入り前最後の壁である三段リーグには中2後期から参加することとなった。中学生棋士のチャンスは3期あったものの、残念ながら達成できず。高1後期の5期目で昇段し、16歳で四段デビューとなった。当時は初の平成生まれのプロ棋士としても注目を集めた。

棋風は居飛車が中心であるが、振り飛車や相振り飛車も指しこなすオールラウンダー。佐藤紳哉七段はNHKで対戦した時に「豊島?強いよね。序盤、中盤、終盤スキがないと思うよ」と評した。

デビュー後も高い勝率を挙げて活躍を見せる。最初に大舞台に登場したのは2010年度の第60期王将戦。羽生善治名人(当時)、渡辺明竜王(当時)らが所属する激戦の王将リーグを5勝1敗で優勝。20歳で初のタイトル戦登場を決めた。この時は誰もが次にタイトルを獲得する若手は豊島、と見たがここから苦労することとなる。

■タイトル獲得を目指すも苦戦が続く

東日本大震災の混乱もある中で行われた久保利明王将との第60期王将戦七番勝負は2勝4敗で敗退。タイトルホルダーの力を見せつけられる結果となった。その後もタイトル戦に度々登場。

2014年度 第62期王座戦(羽生に2勝3敗で敗退)
2015年度 第86期棋聖戦(羽生に1勝3敗で敗退)
2017年度 第67期王将戦(久保に2勝4敗で敗退)

と、4度挑戦していずれもタイトル獲得はならず。その間に糸谷哲郎八段(2014年度に第27期竜王)、菅井竜也七段(2017年度に第58期王位)と、他の関西若手強豪に先を越されることとなった。

豊島はタイトルに縁がなかっただけでなく、棋戦優勝にも時間が掛かった。2016年度の第37回将棋日本シリーズで初の棋戦優勝を果たしたが、2019年6月現在この1回のみである。

■悲願のタイトル獲得から三冠、そして防衛戦へ

2018年度に第89期棋聖戦で3年ぶりに羽生棋聖に挑むこととなった。一進一退でフルセットにもつれ込んだが、最終第5局を制して3勝2敗とし、悲願の初タイトルを獲得。これによって将棋界は8大タイトルを8人で分けあう戦国時代となった。

棋聖戦開幕直前には第59期王位戦挑戦者決定戦で羽生を破り、ダブルタイトル戦を決めていた。菅井王位との七番勝負も一進一退でフルセットとなるが、最終局を制して4勝3敗でタイトル獲得。2ヶ月余りで無冠から二冠へと駆け上がり、将棋界の戦国時代に自らの手で終止符を打った。

2018年度はA級順位戦でも星を伸ばし、最終的に8勝1敗で初の名人挑戦権を獲得。佐藤天彦名人との第77期名人戦に挑むこととなった。開幕の第1局は千日手となり、異例の一日制に。指し直し局を制した豊島は勢いに乗り佐藤を圧倒。一気の4連勝で名人位も獲得した。名人も含む三冠で、一躍棋界の第一人者へと躍り出た。

タイトルを獲得したが、次は防衛戦を控えている。近年の世代交代によりタイトルを獲得した若手棋士は多いが、防衛に成功したのは佐藤天彦くらいである。

棋聖戦は絶好調の渡辺明二冠(棋王・王将)と最強の挑戦者を迎えている。6月4日に行われた第1局は激戦を制して先勝したものの、簡単に防衛とはいかないだろう。

王位戦では初のタイトル獲得を狙う木村一基九段が挑戦者となる。7月3,4日の開幕時46歳のベテランだが、タイトル挑戦は7度目で、豊島以上に苦労を重ねている。

防衛戦を乗り切れるか、豊島の真価が問われる夏になりそうだ。

文=渡部壮大

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放送情報

第27期 銀河戦 本戦Eブロック 最終戦 豊島将之名人vs藤井聡太七段
放送日時:2019年7月23日(火)20:00~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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