快進撃が続く本田奎五段 棋王戦五番勝負の行方にも注目

本田奎五段
本田奎五段

デビューから一気に大舞台へと駆け上がった本田奎(けい)五段。史上初となる初参加でのタイトル挑戦を決め、2月1日(土)に開幕する第45期棋王戦五番勝負に登場する。

■小学6年生で奨励会6級入会、21歳で四段昇段

本田は2009年に12歳、小学6年生で奨励会6級入会。入会前にいわゆる小学生名人などのタイトルは取っていないが、入会後は順調に昇級、昇段を重ねていき17歳で最後の関門三段リーグに参戦。三段リーグには3年半7期在籍し、21歳の時に15勝3敗の好成績を収めて四段昇段を果たした。ちなみに三段リーグでは1期抜けを果たした藤井聡太に黒星を付けた1人である。

将棋界においては、基本的にプロになった年齢が若い方が後に棋士として大成する可能性が高い。羽生善治九段や渡辺明三冠は中学生で四段昇段を決めている。また、豊島将之竜王名人、永瀬拓矢二冠も高校生(もしくは高校生に当たる年齢)で四段昇段しており、タイトル戦線に絡む棋士は高校生、遅くとも10代のうちにプロ入りしていることが大半だ。例外は木村一基王位で、奨励会で苦労し23歳でプロ入り。しかしその後数多くのタイトルに挑戦し、46歳で史上最年長タイトル獲得を成している。

これらの前例からすると21歳での四段昇段は苦労こそしなかったが、あくまで平均的だ。本田は昇級昇段ペースが特別に早いわけでもなく、プロ入り時の評価としてはあくまで普通の新四段だった。しかし、デビュー後は前評判を覆す勝ちっぷりを見せる。

第45期棋王戦五番勝負に注目が集まる本田奎五段

(C)囲碁・将棋チャンネル

■棋王戦で史上初の参加1期目での挑戦権獲得

まずデビュー戦の竜王戦ランキング戦6組で白星をあげると、2戦目の棋王戦予選にも勝利。2018年度の成績は7勝2敗と好スタートだ。今年度に入り12連勝をするなどますます加速。棋王戦の予選では15連勝中の永瀬七段(当時)を止めるなど、若手の強豪を連破して決勝トーナメント進出を決める。

決勝トーナメント初戦は名人戦に登場したことがある実力者行方尚史八段(当時)を破ると、2戦目には名人3期の佐藤天彦九段に快勝。3戦目は村山慈明七段に逆転勝ちをし、4強入りを果たした。勢いは止まらずさらに丸山忠久九段、広瀬章人竜王(当時)にいずれも快勝し、勝者組を勝ち上がる(棋王戦はベスト4からは2敗失格制)。挑戦者決定戦は敗者組を勝ち上がってきた佐々木大地五段と対戦。第1局は完敗するものの、第2局は快勝。棋王戦の挑戦権を獲得した。

参加1期目での挑戦権獲得は史上初。初参加ということは当然シード権もないため、一番下からの勝ち上がりなので難易度が高い。四段昇段からの速さとしては屋敷伸之九段に次ぐ2位となるが、当時の棋聖戦は年2回開催でサイクルが早かったためで、本田の記録は現在の環境としてはほぼ最速(竜王戦で挑戦すればさらに早いが)と言える。

本田は相掛かりや急戦系の切り合いを得意とする居飛車党。渡辺棋王との五番勝負は相居飛車中心となるだろう。渡辺棋王は実績、実力ともに最強クラスで本田にとっては厳しい戦いが予想される。しかしここまで予想を覆し続けてきた本田のこと、想像を超える戦いぶりを見せる可能性も十分にある。タイトルを手にし、一気に一流棋士の仲間入りを果たすことができるか注目のシリーズだ。

文=渡部壮大

この記事の全ての画像を見る

放送情報

将棋連盟が選ぶ 注目の一局 棋王戦セレクション #916 相掛かり特集 近藤誠也五段 vs 佐藤慎一五段
放送日時:2020年1月31日(金)23:00~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

関連記事

記事の画像

記事に関するワード