ドラマ『残酷な観客達』は、2017年5月から7月にかけて日本テレビ系で放送され、欅坂46のメンバー21人総出演ということもあり大きな話題となった。物語の舞台は、現代からさほど遠くない近未来のとある学校。プライバシーの保護を優先するあまり、学校では教師や生徒の名前を開示せず、生徒同士も番号で呼び合っている。それぞれ役名はあるが、ほとんどが番号で呼び合っているので印象は薄い。
ある日、欅坂46のメンバーが演じる女子高生たちが突如教室に閉じ込められてしまう。教壇には一台のタブレット。なんと、そのタブレットを通して、この教室の様子がリアルタイムで全世界に配信されていた。ロックされた教室から脱出するためには、配信を見ている"観客達"から多くの「いいね!」をもらう必要があった。後半では、観客達の繋がりも見えてくる展開があるが、タブレットを通じて配信される映像を見ている"観客達"は年齢性別もバラバラ。厳しいコメントを投げかける人もいれば、優しい言葉を発信して見守ってくれる人もいる。この辺りは現実世界のSNSと共通するところかもしれない。
課題をクリアした生徒は教室のロックが解除されて出ていくのだが、その時に、他の生徒たちは出ていこうとはせず、おとなしく見送っている。鍵が開いたのであれば出ていけばいいのに。と思ってしまうが、「それがルールだから」というナレーションによって、その奇妙な状況に思わず納得してしまう。例えば、お腹が空いた生徒達に食事が支給されるシーンがあり、これも課題をクリアしたものから順番に食べられるのだが、クリアできない生徒はそこにある食事に手をつけない。それがルールだから。
物語は、出席番号17番・葉山ゆずき(平手友梨奈)の視点で進んでいく。次第に生徒たちの過去やそれぞれのキャラクターも見えてくるようになるが、物語のキーマンとなるのは出席番号14番の永嶺みこ(長濱ねる)。ゆずきとは幼い頃からの友達ではあるが、発言や行動など、謎というか不可解なことが多く、見ている側としては一番気になる存在だと言える。
このドラマの楽しさの1つに、欅坂46のメンバーのさまざまな一面が見えるところが挙げられる。変顔、一発ギャグ、モノマネなどをタブレットを通して"観客達"に披露。他にも楽器を披露する場面も見られる。そういった点では、演じているキャラクターの個性というよりは、メンバー自身の素の部分が垣間見える。
なぜ彼女達は閉じ込められたのか。誰が仕組んだことなのか。様々な謎が交錯する物語。地上波での放送終了後、ネット上ではさまざまな意見が飛び交った本作だが、観る人は、ルールに対するツッコミを入れつつ、"観客達"と同じように彼女達の行動を楽しみながら、物語に秘められた謎を解いてもらいたい。
文=田中隆信
放送情報
残酷な観客達
放送日時:2019年2月7日(木)23:00~
チャンネル:MONDO TV
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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