欅坂46・菅井友香 責任感の強さと覚悟が生み出した「女優としての覚醒」

1月30日から2月12日まで東京・新国立劇場 中劇場で、2月22日から24日まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演された舞台『飛龍伝2020』。『飛龍伝』は、『熱海殺人事件』や『幕末純情伝』などで知られる劇作家、つかこうへいが1973年に発表した代表作の一つ。
学生運動が盛んな時代に、四国から愛と希望を胸に抱いた少女、神林美智子が上京。全共闘作戦参謀の桂木純一郎に出会い、その理想と革命に燃える姿に憧れ、恋に落ちていった。その後、全共闘40万人を束ねる委員長にまつり上げられた美智子は機動隊との最終決戦に挑むことに...。

本作のヒロイン・神林美智子はこれまでに富田靖子、牧瀬里穂、石田ひかり、内田有紀、広末涼子、黒木メイサ、桐谷美玲といったそうそうたるメンバーが演じてきたが、8代目に抜擢されたのは欅坂46の菅井友香だった。馬術が得意で、おっとりした性格のお嬢様の菅井だが、欅坂46のキャプテンというポジションを務めることで責任感が生まれ、メンタル面でも強くなってきた。しかし、舞台に関しては『ザンビ』などいくつかの作品を経験してきたものの、この作品では"主演"ということもあり、多くの重圧も感じながら挑んだに違いない。

『熱海殺人事件』もそうだが、つか作品はセリフの量が膨大で、しかもテンポ良く演者たちから発せられ、その熱量も常に高い。上演される前の会見で菅井は「没後10年というタイミングで参加できることを誇りに思っています。つかさんが伝えたかったことを舞台を通してお伝えできるように精一杯頑張りたいと思います」と意気込みを語っていた。その覚悟とも言える強い思いは、初日の幕が上がった後、本番の舞台の上で見事に示してくれた。明るい笑顔を見せたり、楽しそうに歌声を聴かせる場面もあるが、発するセリフは感情が溢れ出んばかりに力強く、男たちを相手に立ちまわる勇ましい姿も見られた。

つか作品に多く出演している共演者、味方良介やNON STYLEの石田明らとも対等に渡り合い、話題となったキスシーンも含め、アイドルとは違った"女優"としての才能と魅力を発揮。まさしく"覚醒"した瞬間を目の当たりにした感覚だった。

昨年は欅坂46のメンバーとして秋に東京ドームという大きなステージを経験。今年に入ってから平手友梨奈の脱退などもあったが、2期生が加入し、新型コロナウイルスの影響で公開延期となったが初のドキュメンタリー映画『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』も完成するなど、グループは次への1歩を踏み出している。

この舞台に臨む菅井の姿は、新たな起点となる瞬間にいろんなことを模索しながらも楽しんでいるようにも感じられる。そんな公演の模様が、稽古や舞台裏の密着映像、インタビューも収録した3時間スペシャルとして、4月29日にTBSチャンネル1で放送されることが決定した。"女優"として開花した菅井友香の姿をぜひ確認してもらいたい。

文=田中隆信

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放送情報

飛龍伝2020 つかこうへい演劇祭−没後10年に祈る−舞台裏メイキング付き
放送日時:2020年4月29日(水)21:00~
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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