大晦日に24年ぶりとなる「第73回NHK紅白歌合戦」出演を果たし、歌手として大きな話題を集めている工藤静香。
そんな彼女の、おニャン子クラブを経てソロデビュー後、アイドル歌手から女性シンガーとしてひと皮むけた姿を見られるのが、スタジオ・アルバム『mind Universe』を引っ提げて行われたコンサート・ツアー「静香のコンサート'91」だろう。「嵐の素顔」「恋一夜」「抱いてくれたらいいのに」など、当時21歳とは思えないほど大人っぽく歌い上げる工藤のアーティスティックな才能を堪能することができる。
コンサートでは、工藤が紺のパンツスーツ姿で登場し、ダンサブルなナンバー「腕の中のUniverse」で幕を開ける。激しいダンス、軽やかなステップと共に伸びやかな歌声を披露。「震える1秒」「嵐の素顔」と続きMCへ。MCでは「こんばんは。今日も全開で頑張っていきたいと思いますので、心に残るコンサートを一緒に作ろうね!」とファンに呼び掛ける。
真紅のトレンチコート、同色のリボンで髪を後ろで一つに結んだヘアスタイルに変わった工藤は「私について」「恋一夜」「抱いてくれたらいいのに」と歌い、持ち前の美しいハスキーボイスが光るナンバーで観客を魅了。情感たっぷりに歌い上げた後には、会場の湧き上がる歓声に思わず顔をほころばせ、歌っている時とは一変した年相応のかわいらいしい笑顔を見せる。往年の工藤ファンなら「このギャップこそ、工藤の最大の魅力!」と感じるのではないだろうか。
続いて、膝上丈のショートタイツにカスタムが施されたオーバーサイズのGジャン、黒のキャップ姿で「断崖」「証拠をみせて」を熱唱。激しいダンスをパフォーマンスし、存在感あふれるステージングでアーティストとしての引き出しの多さを見せて楽しませてくれる。
後半は一転して、白と淡いピンクのガーリーなロングドレス姿になって「ワインひとくちの嘘」からスタートし、「ブリリアント・ホワイト」「Superstition」を歌唱。激しくカッコいい楽曲だけでなく、しっとりとした切なさあふれる楽曲も、しっかりと"聴かせる歌唱"で聴く者を感動させることができるのは一流アーティストの真骨頂といえるだろう。
MCでは、「1曲1曲加減して歌わないものですから、だんだんガサガサになっていっちゃうんですけど...(笑)」「今日はね、ちょっと変わったことを...。楽器はやらないよ?(笑)ただね、歌詞は覚えられないんだけど、絶対聴かせたいなと思って」「これね、この歌ね、今日のために自分で作った歌なの!」とファン全員というより、友人一人一人と会話するかのようにフランクに語る工藤。そんな飾らない工藤の親しみやすさも魅力の一つだ。
圧倒的な声量と伸びやかな美しいハスキーボイスで歌い上げ、しっとりと切なさいっぱいに聴かせる歌手としての魅力に加え、パフォーマンスで魅せるアーティスティックな面、MCや曲の合間にみせるフランクで年相応のかわいらしい面など、あふれるほどの一流アーティストとしての魅力が感じられる工藤の姿をぜひ目に焼き付けてほしい。
文=原田健
放送情報
M-ON! LIVE 工藤静香 「静香のコンサート’91」
放送情報:2023年1月21日(土)17:30~
チャンネル:MUSIC ON! TV(エムオン!)
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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