ソロ活動20周年の河村隆一、生の歌声で勝負し続けるノーマイクライブ

ロックバンドLUNA SEAのボーカルを務めるRYUICHIこと河村隆一。彼はソロアーティストとして6時間半で104曲歌い切ってギネス認定されたライブ(2011年)や、バラード楽曲のみを歌うコンサート(2013年)など、たびたび実験的なステージを企画し、挑戦してきた。

マイクを通さない声を聴きたい

2009年からは通常のライブとは別に、『No Mic, No Speakers Concert』と名付けられたコンサートを継続的に開催している。タイトルのとおり、マイク、スピーカーなどの音響機材は一切使われない。このコンサートのきっかけは、ファンクラブツアーで訪れたイタリアで、修道院の食堂として使われていた石造りのホールと出会ったことだったという。

「音の響きがすごくて、アンプを通したらせっかくの音楽が台無しになってしまうから、マイクを外して歌ってみよう」と思い立ち、はじめてマイクなしのライブを行った。そのときから生の歌声、生の音楽の響きに興味を持った彼は「好きなアーティストのマイクを通さない生の声を、自分も聴いたことがない」と気づいた。そこで東京オペラシティコンサートホールやNHK大阪ホールなどのホール会場でチャレンジすることに。バイオリンやチェロなどの弦楽器やピアノを従え、生の歌声で自らの代表曲『Love is...』『深愛~only one~』やアンドレア・ボチェッリの『Con Te Partirò(Time To Say Goodbye)』やフランク・シナトラの『マイ・ウェイ』といった名曲のカバーまで幅広い楽曲を披露してきた。

さらに2016年11月からは教会を舞台とした『No Mic, One Speaker Concert at Church Tour』も実施。このコンサートはアコースティックギターまたはエレクトリックピアノとのステージである。エレクトリックピアノはもちろん、アルペジオなどをしっかり聴いてもらうためにアコースティックギターも小さなアンプをステージ奥の壁に向けて鳴らしていて、ワン・スピーカーとしているそうだ。

静かなのにロックなライブ感

ノーマイクライブでは文字通りマイクを使わないので、当然相応の声量が必要になる。しかし単に大きな声を出せば響くわけではない。彼はマイクがない状態で発声をやりながらステージ上を歩き、一番響く場所を探してからリハーサルを始めるという。コンサートを行うホールや教会の特性を知り尽くし、それを効果的に利用することで、初めて生の声が生きてくるのだ。

そして聴衆もノーマイクライブでは神経を使う。わずかな音でも聴こえてしまうので、皆、息をひそめて聴いている。しかしその集中力が会場に一体感を生み出し、フィナーレではスタンディングオーベーションとなり拍手が雨の音のように降り注ぐ。

彼はノーマイクライブを「クラシックコンサートのような本当に静かなコンサートですけれど、ロックのライブよりさらに過酷で、エッジが立っている」と分析している。もちろん喉への負担も、通常のライブ以上にかかる。オペラやミュージカルの歌手は生の声だが、彼らはロックの曲を歌うわけではない。そこまでして自分を追い込む理由として、河村隆一は身体に負荷をかけることで、ボーカリストとしての力を伸ばし続けているのだという。

さらなる高みを目指して

2017年にソロ活動20周年を迎えた彼は、2018年の初めにまた新たな挑戦をする。2018年1月6日にパシフィコ横浜 国立大ホールで開催される『RK 20th Anniversary グランドフィナーレ"無限の生命"~果てしなき旅、その先という名の道を目指して~』である。

このコンサートはノーマイクライブではないが、ソロの全アルバム158曲を歌う予定であると11月27日付のブログでつづっている。時間に限りがあるのでメドレーもあるそうだが、約2時間のステージを4回、計8時間を想定しているという。これもまた、ノーマイクライブと違った形で自らを追い込む内容となっている。

自分の限界はなにか、と問いかける河村隆一。この全曲ライブを乗り越えた先にどんな景色を私たちに見せてくれるのか、期待が高まる。

Writer:桂泉晴奈

※この記事はヨムミル!ONLINEの転載になります。

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放送情報

河村隆一<br />「RK 20th Anniversary グランドフィナーレ“無限の生命” <br />~果てしなき旅、その先という名の道を目指して~」

放送日時:2018年1月6日(土)12:00~

チャンネル:BSスカパー!

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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