本作の魅力の1つは、五感に訴えかけるような映像美。咲き誇る桜並木や、キラキラと水面が光る広い海、突然の夕立、緑ゆたかな木々と吹き抜ける風の音...そのノスタルジックな映像や自然の音こそ、ヒーリングドラマとされる大きな要因だ。そして、どこか浮世離れしたデボムのキャラクターが見る者をやさしく包み込む。
ニコニコと笑顔を絶やさないデボムはいつも穏やか。子どもたちとサッカーに興じている時の笑顔は少年そのものだ。一方で、内向的な性格でもあり、初対面の人とはうまく話せない。それでも心優しく繊細な人物であることは、第一印象ですぐにわかる。シワンの品のある顔立ちと温かい眼差しが、デボムの魅力の源泉だ。
ヨルムが「本の修復を見てみたい」とお願いすれば丁寧に実演してみせ、ヨルムが借りていた本の上に水がこぼれてしまった時にはサッと現れて応急処置をする。不器用な2人が本を介して言葉を交わし、時間をかけて心の距離を近づけていく、そのゆっくりとした時間の流れが心地よい。
そして回を追うにつれ、ヨルムの住みついた物件にまつわるドタバタや、図書館に入り浸る女子高生・ボム(シン・ウンス)とヨルムの関係の変化、デボムが抱える悲しい過去など、様々な人間模様が次第に浮き彫りになってくる。
大ヒットドラマ「コーヒープリンス1号店」(2007年)や「恋はチーズ・イン・ザ・トラップ」(2016年)のイ・ユンジョン監督が演出を手がけているだけあって、魅力的なキャラクターたちが、ある意味リアルな生活感を伴ってイキイキと動き出してくる...といった印象だ。
放送情報
なにもしたくない(原題)
放送日時:2023年1月21日(土)20:00~
※毎週(土)20:00~(2話連続放送)
「なにもしたくない(原題)」制作発表SP
放送日時:2023年1月16日(月)13:30~、1月19日(木)18:15~ほか
チャンネル:スカチャン1(KNTV801)、KNTV
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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