「愛だと言って」のキム・ヨングァンの新境地！ロマンスドラマの甘いイメージを覆した「悪人伝記」での獣のような悪のカリスマ像

面会室のシーンではまるで猛獣が獲物を見定めるかのような鋭い眼差しをドンスに向けたかと思えば、急にスイッチが入り、机ごとドンスを壁に押しつけながら怒号を浴びせるドヨン。静と動を巧みに使い分けながら、ドヨンの本能的な恐ろしさを体現したヨングァンの狂気は画面越しでも十分に伝わってくる。

そんなドヨンを恐れながらも生きる道を何とか探ろうとするドンスを、温和な顔つきと険しい表情を使い分けて表現したハギュンの演技にも圧倒される。対峙したヨングァン自身も、制作発表会見で「さすが"ハギュン神"だと感じた。先輩がとても集中している様子を見て、見習わなければいけないと思った」と共演の感想を語ったように、随所で繰り広げられる2人の息詰まる演技合戦は見ものだ。

そしてドンスを心から慕う腹違いの弟・ボムジェを演じたのが、「復讐代行人2 ～模範タクシー～」(2023年)での怪演も記憶に新しいシン・ジェハ。"事件ブローカー"として金になる仕事をドンスに紹介するという楽天的な性格の持ち主だったが、その兄に巻き込まれる形で悪事に加担。不安や恐怖に支配され、「僕たち、地獄行きだね」と絶望する不憫な人物像をシリアスに表現。共感できるキャラクターとしてドラマに人間味を加えている。

2022年のスリラードラマ「サムバディ」でも、歪んだ欲望を持つ主人公を体現した凄まじい役作りが話題になるなど、30代後半に差し掛かり、演技の幅を広げているキム・ヨングァン。今作での"ヴィラン(悪役)"を経て、今後どのようなキャリアを築き上げていくのか？俳優としての更なる"深化"に期待したい。

文＝HOMINIS編集部

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