この契約結婚を「ばかげている」と言い切っていたジョンウォンだが、妻との復縁のために必要なプロセスだと割り切り、手引きに従ってインジと形ばかりの"夫婦生活"を送り始める。法的義務のない結婚の誓いを交わし、1日の出来事を語り合ったり映画デートに行ったり、インジ曰く「地味だけれど夫婦生活で必ずしなければならない些細で重要なこと」を1つ1つこなしていく。
そのうち、ジョンウォンの心にある感情の変化が現れる。
形ばかりの会話を律儀に繰り返し、社交ダンスを教えたり、礼服のネクタイを結んでくれるインジに対し、妙な感情が芽生え始めるのだ。自分でもその正体が分からないまま、少しずつインジを求め始める。心は元妻を求めているはずなのに、突然の衝動に駆られてキスをしたり、好きになったと確信が持てないのに「あなたと寝たいみたいだ」と吐露したり...。契約にとらわれた結婚生活という"形"がジョンウォンの"心"を動かしていく。
配信開始直前に行われた制作発表会見で、「見る視点によっていろいろな解釈ができそうな作品」(コン・ユ)、「行間を読まなければいけないところが多く、余白も多い」(ソ・ヒョンジン)と語った文学的な空気が、静寂を形作っている。
心より先に体が動く...そんな大人の関係を表現した作品だけに、濃密なベッドシーンも重要なファクターに。「人物の感情をリアルに表現するため必要だった」とギュテ監督が会見で語ったベッドシーンは、さほど過激ではないからこそ"形が心を動かす"ロマンスに説得力を持たせている。
<配信情報>【Netflix】
Netflixシリーズ「トランク」独占配信中
詳しくはこちら