「数年前から仕事しか念頭になくて。でも少しずつ、自分の人生について考えるようになりました」――多忙を極めるイーボーだが、最近人生への見方に変化が出てきているという。

過酷な自然に挑むこの企画を前にして、彼の口からこぼれ落ちる本音もカメラが捉えていく。「年を重ねるとともに人生経験が増えたせいか、未知の世界を見たいと思い始めました」。そう語る、まだ見ぬものへの渇望が、イーボーを極限の旅へと誘う。

とはいえ、今回挑む旅は専門のトレーニングを積んだプロにとっても厳しい状況の連続だ。熱帯雨林の旅では猛烈な湿気と暑さの中で原生植物の実から水分を摂り、ラオさんから「この枝は掴んでいい。あれはダメだ」とアドバイスを受けながら、道なき道を進む。気づけば肌にヒルが貼りついて血を吸っている。やっと見つけた沢で体を冷まし、重い荷物を背負ったまま岩づたいに滝を懸垂下降。安全地帯まで降り、滝つぼにダイブする。

ラオさんですら時に足を取られる過酷な道のりを、初体験のイーボーが続く。アクション作品でも証明した高い身体能力があればこその挑戦だ。恐怖心がないはずはないが、彼は決して「できない」と言わない。「やればできると思う。時間の問題だよ」と自分を奮い立たせ、目の前の状況に集中する。その目は、これと決めたことをやり通す人間の目だ。

■表現者としての飽くなき"欲求"...ワン・イーボーの人間性が滲み出るインタビュー映像も収録