
© FRANCE TÉLÉVISIONS - JLA PRODUCTIONS - Be-FILMS - RTBF (Télévision belge) - 2019
シーズン1では、二人の関係が"職務上の協力"から"友情"へとゆっくり変化していく。ラファエルの誕生日に、アストリッドが勇気を出してパーティーに参加しようとしたり、ラファエルがアストリッドの感覚過敏にさりげなく配慮したり......。誰かと心を通わせるということが、どれだけ大変で、どれだけ尊いか。このドラマは、それを事件と共に描いていく。最終話では、アストリッドが連続殺人犯に誘拐されるという衝撃的な展開も。その時、彼女が残した"ラファエルにしか解けないメッセージ"が、二人の絆の深さを証明してくれる。
「アストリッドとラファエル」が他のミステリードラマと違うのは、単に"謎を解く"だけでなく、"世界の見え方"に多様性があることを教えてくれる点だ。アストリッドのような視点も、ラファエルのような感覚も、どちらも必要不可欠。誰かと違うからといって、社会から外れるわけではない。違うままに、ちゃんと共に生きていける――その希望が、このドラマの根底にある。しかもそれを説教臭くなく、サスペンスと人間ドラマで自然に見せてくれるのだから、見終わったあとにじわっとくる余韻が残るのだ。

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そしてこの作品が特別である最大の理由は、"多様性"というテーマを、サラの演技を通して見事に描いていることだ。アストリッドの特性は"個性"として描かれ、それを理解しようとする人たちとの関係が、社会の理想像を静かに提示する。異なる視点を持つ者同士が協力し合うことの大切さを、この作品は声高ではなく、自然な物語として伝えてくれる。
「アストリッドとラファエル」は、シーズン1から観てこそ真価がわかる作品だ。二人が出会い、信頼し合い、パートナーになっていく物語。ラストで描かれる"自立"と"決別"の一歩まで含めて、この作品の土台がすべて詰まっている。いま観れば、シーズン2以降の進化がもっと楽しめるはずだ。アクションでも恋愛でもない、だけどしっかり心が動くバディドラマ。あなたも、きっと彼女たちの"相棒"になりたくなるはずだ。
文=川崎龍也
放送情報【スカパー!】
「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」(シーズン1~5・全41話)
字幕版:2025年4月23日(水)よりスタート 毎日11:00~
チャンネル:ミステリーチャンネル
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