完成から約5年の歳月を経て、昨年ついに日本公開された映画『The Crossing ザ・クロッシング』で注目を集めた金城武。46歳になった今も変わらぬ"美男子"ぶりをキープしている彼の出演最新作『恋するシェフの最強レシピ』が、DATVにて2月1日(土)に放送される。近年は海外を中心に活動しているため、その姿を見かけることも少なかったが、90年代後半から2000年代にかけて、日本の映画やドラマに引っ張りだこの存在だった。その華々しい経歴をひも解いてみたい。
日本人の父親と台湾人の母親を持ち、台湾で生まれ育った金城。その名が世界中に知られるようになったのは、1990年代、世界的に一大ムーブメントを巻き起こした巨匠ウォン・カーウァイ監督作品への出演がきっかけだ。『恋する惑星』(1994年)で別れた女性への未練を引きずる警官を、翌年公開された『天使の涙』(1995年)では口のきけない男という難役を演じ存在感を増すと、90年代後半ごろからは日本にもその活動の幅を広げていく。
スクリーンでの鮮烈な印象もあって、若くして国際派スターへと上りつめた金城だが、デビュー直後の台湾では、"台湾四小天王"と呼ばれアイドル的な人気を博していたという。だが、日本で大ブレイクした要因は、1998年放送のドラマ「神様、もう少しだけ」で共演した深田恭子との絶妙なカップリングだったような気がする。
放送当時16歳だった深田恭子演じる女子高生が、「援助交際の末にHIVに感染する」というショッキングな題材は、実にセンセーショナルで、金城が演じた人気音楽プロデューサー・石川啓吾が醸し出す大人の魅力とも相まって、尻上がりに視聴率を伸ばしていった。特に、歩道橋から川へダイブしての水中キスや長尺のキスシーンは、放送から20年以上が経った今でも、記憶に残っている人もいるのではないだろうか?
そうした恋愛ドラマで女性層のハートを掴んでいった一方、2000年代に入ると、山崎貴監督のSFアクション『Returner』(2002年)、チャン・イーモウ監督の武侠アクション『LOVERS』など、ハードな路線も開拓。中でも、「三国志演義」を基に、赤壁の戦いを前後編で描いたジョン・ウー監督の『レッドクリフ』(2008年)では、"最強の軍師"として名をはせた諸葛孔明を演じたのが印象的。トニー・レオン、チャン・フォンイー、チャン・チェン、フー・ジュンらアジアのスターが集結し壮絶な戦いを繰り広げる中で、ひとり武器も持たず知力で戦い抜く...その静謐な佇まいは、見事なハマりっぷりで新たな一面を見せつけた。
2010年代以降は、日本の作品への露出も少なくなった金城だが、そんな中で出演を果たした作品が、"中国版・タイタニック"ともいえるジョン・ウー監督の大河ロマン『The Crossing ザ・クロッシング』だ。チャン・ツィイー、ソン・ヘギョ、長澤まさみ...と、中国・韓国・日本の美人女優が集結した中で、彼は台湾国籍の日本軍軍医役で出演。その初恋の女性・雅子を演じた長澤とのロマンティックな純愛ストーリーが印象的で、金城自身も「自分の出演作を観て感情的になることはあまりないのですが、この映画だけは観ながら泣いてしまいました」と、本作への思い入れを明かしている。
そして、『ウィンター・ソング』(2006年)以来、これが4本目のタッグとなる恋愛映画の巨匠、ピーター・チャン監督がプロデュースした『恋するシェフの最強レシピ』でスクリーン復帰を果たした金城。本作で描かれるのは、金城演じる"絶対味覚"を持つグルメな不動産王・ルーと、料理の腕はピカイチという18歳年下の天才女性シェフ・ションナンとのコミカルな恋愛劇だ。
中国で若手No.1女優と言われるチョウ・ドンユイとの"年の差カップル"の恋愛模様は、ビジネスシーンで見せる冷酷なルーな姿とは真逆で、18歳も年下のションナンに翻弄されまくる金城の姿が超絶キュート。そのギャップが大きければ大きいほど、サプライズな展開が楽しめる"ラブコメの王道"ともいえる作品で、「こんな金城武を待っていた!」と思うファンも多いのではないだろうか。
さらに、ストーリーのカギを握る美人シェフ役として、EXILE AKIRAとの結婚でも昨年注目を集めたリン・チーリンも出演。『レッドクリフ』以来、久しぶりに台湾の2大トップスターが顔をそろえるシーンは否応なしに心が躍る瞬間だ。
かつてアジア人として初めてプラダやエンポリオ・アルマーニの広告塔に抜擢されるなど、華々しい経歴をもつ金城。本作でも相変わらずの男前ぶりに加え、今だからこそ出せる渋味のある演技を目の当たりにして、改めてその魅力を再認識させられた。
文=HOMINIS編集部
放送情報
恋するシェフの最強レシピ
放送日時:2020年2月1日(土)20:00~
チャンネル:DATV
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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