緩急ありまくりのツンデレ演技が殿堂入り？パク・ヘジンが今も第一線で輝き続ける理由

5月1日、38歳の誕生日を迎えたパク・ヘジン。新たな若手俳優が次々に登場し、人気アイドルも"演技ドル"として台頭してくる移り変わりの激しい中で、2006年のデビュー以来、スターであり続けてきた。

2020年末に行われた「MBC演技大賞」の大賞に輝いた主演作「コンデインターン(原題)」では、"理想の上司像"を体現するなど、様々な役どころで視聴者の心を掴んできたへジンだが、やはり彼の魅力が凝縮されているのは、5年前に出演した代表作とも言えるドラマ「恋はチーズ・イン・ザ・トラップ」ではないだろうか。

5月9日(日)よりKNTVにて放送される本作は、完璧だけどキケンな先輩ユ・ジョンと子犬系ピュア男子ペク・イノ(ソ・ガンジュン)が、不器用なヒロインのホン・ソル(キム・ゴウン)を巡ってバトルするラブコメディ。へジンが扮するユ・ジョン先輩は、誰が見ても完璧な人気者でありながら、人知れず冷酷な裏の顔を持っているというキャラクターだ。

初めはソルが転んでぶちまけた書類を無言で踏みつけたり、冷笑したりと非情すぎる態度なのだが、彼女がユ・ジョンの幼い頃から抱く心の闇を理解してくれると分かると、それは一変。「一緒に食事でもどう？」とソルに急接近していく。

ソルも「騙されたらいけない...」と警戒しつつ、魅惑の笑顔やミステリアスな雰囲気に魅せられて、いつしかユ・ジョンが気になる存在に。しかし今まで誰かと寄り添い、心を許すことのこなかったユ・ジョンはソルを傷つけてしまう事もしばしば。

その一方で、彼女の心の拠りどころになっていくのが、ユ・ジョンとは犬猿の仲であるイノ。遊び人風に見せて根は純粋な彼の優しさに癒されていくソルは、2人の間で複雑な感情を巡らせることになる。

あらすじだけだと一見よくある三角関係モノのように見えるのだが、本作が優れているのは登場人物たちの心の機微や成長が見事に描かれている点だ。裏がありそうな序盤の笑顔から、ソルの前で心の底から笑えるようになるユ・ジョンの表情の変化を表現してくるあたりは、「さすがへジン！」といったところ。怒りや憎しみから、「本当の僕を知ったら、君が逃げそうで怖かった」というソルに対する焦燥といった感情のディテールまで、実に繊細に演じ切っている。

そんなユ・ジョンの恋のライバルを魅力的に演じ、"国民の年下男"と呼ばれる若手イケメン俳優の筆頭だったソ・ガンジュンも、昨今では「第3の魅力」(2018年)や「WATCHER＜ウォッチャー＞」(2019年)といったシリアスな作品でキャリアを重ね、演技派として成長。また、ドラマ初出演にして初ヒロインを務めたキム・ゴウンは、言わずと知れた大ヒットドラマ「トッケビ～君がくれた愛しい日々～」(2016年)で更なる人気者へ。

そのほかにも、ソルの親友に恋するかわいい後輩・ウンテクを演じているのが、昨年話題になったドラマ「スタートアップ:夢の扉」で注目されたナム・ジュヒョクと、今や主役級スターとなった共演者たちのフレッシュな演技が拝めることも、本作を見返したくなるポイントだ。

ソ・ガンジュンやナム・ジュヒョクら自身とは10歳以上離れた最旬スターにも負けず劣らず、ツンデレの極致ともいえる緩急ありまくりの胸キュン演技で、"ユ・ジョン先輩シンドローム"と呼ばれるほどの熱狂を呼び起こしたヘジン。彼がなぜ今も第一線で輝き続けるのか？本作で、その説得力に溢れたミステリアスな魅力に改めて触れてみてほしい。

文＝津金美雪

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