今年1月期に放送され、好評を博した韓国同名ドラマの日本版リメイク「知ってるワイフ」(フジテレビ系)。夫婦役を演じた大倉忠義(関ジャニ∞)と広瀬アリスのハマリっぷりもさることながら、様々な"夫婦あるある"を盛り込んだリアルなストーリーが多くの共感を集めた。
それに伴い、韓国オリジナル版の注目度も再浮上。夫役を演じたチソンの高い演技力が改めて"再発見"される機会になった。そんな中、日本初放送を迎える法廷サスペンスドラマ「悪魔判事」(11月23日よりMnetにて放送)で演じた、冷徹でミステリアスな裁判官カン・ヨハン役での激変ぶりが話題に。同作が今夏韓国で放送された際には、視聴者をグイグイ物語に引き込み大きな反響を巻き起こした。
「悪魔判事(原題)」は、「愛の不時着」(2019年)や「ヴィンチェンツォ」(2021年)を制作したSTUDIO DRAGONが手掛けたことでも話題を呼んだ作品。正体不明の疫病が広がり未曾有の危機に陥った近未来のディストピア・大韓民国を舞台に、全国民が投票で参加できる国民裁判"ライブ法廷ショー"を行うことが発表される。
その裁判長を命じられたのが、チソン演じる裁判官カン・ヨハン。ヨハンは公正な判決を下すことを宣言するが、その言動には妙な違和感が...。陪席裁判官のキム・ガオン(GOT7・ジニョン)はヨハンの怪しい動きに気づき彼を疑い始める、というストーリーが描かれる。
端正なルックスのヨハンは、一見して貴族のような気品ある佇まいでスーツがよく似合うスター判事。だがその一方で、国民感情を故意に操作しているフシがあったり、深夜の公道を嬉々としてスポーツカーで爆走したりと、品行方正とは言えない側面も。果たしてヨハンは正義のヒーローなのか、裁判官の仮面を被った悪魔なのか――?その謎めいた人物像を、チソンが嫌悪感すれすれの攻めた演技で怪演しており、それがまた作品の世界観に深みを与えている。
チソンのキャリアは長い。1999年に俳優デビュー後、「オールイン 運命の愛」(2003年)でイ・ビョンホンの恋敵を演じ大ブレイク。俳優としてキャリアを重ねる中で、その演技力に磨きをかけてきた。
その成果が顕著に表れたのが、7つの異なる人格を持つ御曹司・ドヒョン役を好演した「キルミー ヒールミー」(2015年)。同作でのまるで憑依したかのような演技が話題を呼び、自身初のMBC演技大賞を獲得したほか、この年の「今年のドラマ賞」「ベストカップル賞」など合わせて12冠に輝いた。
その後も、「被告人」(2017年)では愛する家族を殺害した濡れ衣を着せられた元検事、「医師ヨハン」(2019年)では患者の症状を数秒で把握することから"ドクター10秒"と呼ばれる天才医師を演じるなど、次々に難役に挑み、今では"演技の神"と称されるまでになったチソン。
「ラストダンスは私と一緒に」(2004年)で共演した女優イ・ボヨンと2013年に結婚してからは、その"おしどり夫婦"ぶりも注目の的に。最近も、結婚8周年を祝うコメントをInstagramに投稿し話題となったばかりだ。
そうしたプライベートの愛妻家ぶりと、結婚生活を破綻させる「知ってるワイフ」とのギャップは韓国では大きな話題となったが、ギャップという意味では、最新作「悪魔判事(原題)」で見せる"ヨハン判事"のインパクトはさらに強烈。善と悪の錯綜する絶妙な表情は鳥肌モノで、これまでは正義感溢れる役柄がどちらかというと多かったチソンだけに、また一つ、新たな演技の引き出しを開ける作品になったと言えそうだ。
文=酒寄美智子
放送情報
悪魔判事(原題)
放送日時:2021年11月23日(火)22:00~
※毎週(月)(火)22:00~
チャンネル:Mnet
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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