約20年に及ぶ芸能活動の中で、"国民的年下彼氏"として一躍脚光を浴びたチ・ヒョヌも、11月29日(月)で37歳を迎える。9月末に韓国で放送がスタートしたばかりの最新主演作「紳士とお嬢さん(原題)」では、映画『パラサイト 半地下の家族』の"ハッピーバージョン"とも言われる設定が話題を集め、序盤から視聴率25.3%を叩き出している。
「紳士とお嬢さん(原題)」は、ヒョヌにとって"古巣"ともいえるKBSでの8年ぶりの作品。これまでにも数々のラブロマンス作品で女性ファンを魅了してきたが、今作では3人の子を持つ父親を演じ、大人の男性ならではの魅力を打ち出している。
The Nutsのギタリストとして2001年にデビューしたヒョヌの経歴はファンに広く知られているが、俳優活動のスタートは、2003年のKBS公開採用オーディションで合格したのがきっかけだ。
キャリアの大きな転機は、2004年に放送されたKBSのドラマ「オールドミスダイアリー」。ヒョヌが扮した年上女性に恋するPD役が話題を呼び、女性ファンの年齢層が一気に拡大。2011年には、年上のシングルマザーに恋する青年を演じたドラマ「千回のキス」もヒットし、"国民の年下彼氏"のイメージが定着した。
その後、兵役期間を挟んで除隊後復帰作となったのが、2014年に放送されたKBSのドラマ「トロットの恋人」。"トロット(韓国の演歌)"をテーマにしたこの作品で、ヒョヌは"俺様系"の天才ミュージシャンをコミカルに演じ、新たなファンを獲得。新境地を開いた。
そして、今回放送される「紳士とお嬢さん(原題)」は、ヒョヌにとって「トロットの恋人」以来8年ぶりのKBS作品だ。妻と死別し3人の子どもを育てるシングルファザー、ヨングクと、職を失い塾の講師をしながら進路を模索するヒロイン、ダンダン(イ・セヒ)の出会いから始まる物語。裕福なヨングク宅でダンダンが住み込みの家庭教師として働くことになり、少しずつ変化していく2人の関係を描いたホームドラマだ。
放送に先立って行われたオンライン制作発表会では、「KBSの公開採用出身なので、故郷に帰ってきた感じ」と笑顔で語っていたヒョヌ。KBS作品に対しては、やはり特別な思いがあるようだ。
ヨングクは大企業グループの会長で、いつもパリッと3つ揃えのスーツを着こなす"紳士"。妻の死に直面し、一度は喪失感に陥るものの、あるきっかけで子供たちにはもう自分しかいないと思い直し、子育てに向き合っていく。
ヨングクが端々で見せる優しげな目元、育ちのよさそうな物腰柔らかなキャラクターは、さすが"癒し系俳優"と言われるヒョヌならでは。さらに、"大企業の会長"という肩書きを背負う今作では、小さなことでは動じない包容力も加わった。
制作発表会では、「"国民の年下彼氏"時代とは少し違う大人の魅力、温かな気配りなどをうまく表現しようと努力した」と語っていた通り、年齢を重ねたヒョヌ自身の大人の魅力がごく自然にヨングクのキャラクターに投影されている。
そのきっかけの一つが、3人の子どもを演じた子役たちの存在だ。ヒョヌは、「撮影のない日にも現場に来れば子どもたちみんなに会うことができて、一緒に時間を過ごせるので嬉しかった」とメロメロ。「一緒に過ごすうちに、だんだん子どもたちから与えられることが多くなり、溺愛していった」と早くも父性愛も覗かせており、劇中で見せる父親としての顔にも興味がそそられる。
年下男性ならではの素直さ、可愛らしさで人気を呼んだ"国民の年下彼氏"時代を経て、30代半ばを迎えた今、また新たな境地へと到達しようとしているチ・ヒョヌ。オーディションを勝ち抜きダンダン役に抜擢された新人女優イ・セヒ相手に繰り広げる、一筋縄ではいかない恋模様にも注目しながら、ヒョヌの紳士ぶりを堪能したい。
文=酒寄美智子
放送情報
紳士とお嬢さん(原題) 第1話先行放送
放送日時:2021年11月20日(土)18:30~
※レギュラー放送は12月11日(土)より毎週(土)(日)21:40~
チャンネル:KBS World
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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