ユエン・ハオの色気がダダ漏れ...中国発の「甜寵劇」で際立つツンデレ海賊王の愛情表現

日本をはじめアジア中で人気が過熱している中国時代劇。ブームの火付け役ともいえる「陳情令」(2019年)や「山河令」(2020年)に代表されるブロマンス作品の人気は依然として高いが、一方で男性主人公がヒロインを溺愛する"甜寵劇"も高い人気を誇っている。中でも、2019年に配信されたネットドラマ「一夜の花嫁～Pirates of Destiny～」は、主演した新鋭ユエン・ハオの"ツンデレ"ぶりが大いに話題を呼んだ作品だ。

中国の動画配信サイト「芒果TV」で配信後、わずか5日間で再生数2億回を突破するという凄まじい反響を巻き起こした本作は、正義溢れるヒロインと海賊王が繰り広げるアクションラブコメ時代劇。名家の娘ながら男装して弱き者を助ける"侠客"活動に夢中になっていたヒロイン・花溶(チャオ・ツァオイー)が、ひょんなことから海賊王・秦尚城の一団に目をつけられ、海賊島に拉致されてしまうところから始まる。

おてんばで賢い花溶に興味を持ち、しだいに惹かれていく秦尚城。だが家に帰りたい花溶は、彼の好意を利用して脱出を図る。うまくかみ合わない2人の恋の歯車にヤキモキさせられるストーリー展開と、ピンチにもひるまない主人公・花溶の魅力が大きな見どころだ。

そんな中で異彩を放っているのが、海賊王・秦尚城(しんしょうじょう)に扮したユエン・ハオ。1996年生まれの25歳で、2015年にネットドラマ「十国英雄連盟(原題)」で芸能界デビューを果たした新鋭だ。

荒くれ者の集団を束ねる海賊王だけあって、鋭い目線一つで周囲を震え上がらせるようなカリスマ性を漂わせている秦尚城。初登場シーンから、精悍なルックスはもちろん20代前半とは思えない落ち着きと心地いい低音ボイス、セクシーな流し目で視聴者をグッと惹きつけていく。妙に胸筋の露出が多い"谷間チラ見せ"の海賊王コスチュームも妙にハマっている。

海賊船上でのバトルシーンなど、切れ味鋭いアクションでも圧倒。身長183cmと逞しい体躯をしなやかに躍動させ、敵を制圧し手下を飼いならすその姿は、実に堂々としていてカッコいい。

そんな"男の中の男"である尚城が花溶に惹かれていく過程は、とにかくギャップの宝庫。男装したおてんば娘を当初は冷たい目で観察していたが、彼女の勇気と賢さに一目置くようになり、罰を免除するなど、徐々に特別扱いするようになる。

尚城が花溶をかばって蛇に噛まれた時には、彼女の"恩返し"を利用して「薬が苦すぎる」「一晩中眠れなかった。本を読んでくれ」とワガママを言って困らせ、カリスマ海賊王とは別の一面を見せ始める。花溶が海図を盗み出そうと尚城に酒を飲ませるシーンでは、ダマされているとも知らず嬉しそうに酒をがぶ飲みし、逆に酔っぱらってしまった花溶を熱く抱擁するなど、どんどんチャーミングな表情を見せ始めるのだ。

花溶が不機嫌な理由がわからずイライラしたり、彼女が喜ぶ贈り物を一生懸命に考えたりと、慣れない恋の感情に振り回される尚城。その恋する姿とクールな海賊王とのギャップはたまらなく魅力的で、回を重ねるごとにユエン・ハオ人気が爆上がりしていった背景も納得だ。さらに、王子という身分を隠した貴公子・金逸文(イー・ボーチェン)の存在によって、複雑な三角関係に発展。一途な愛を捧げる尚城の健気さが引き立つ、ツンデレ好きにはたまらない展開となっていく。

今作の大ヒットを受けて、中国ではすでにシーズン2も放送されている「一夜の花嫁」。他の時代劇イケメンとはまた違った野性味溢れる魅力を放ち、ファンを魅了するユエン・ハオの"ツンデレ海賊王"をぜひこの機会に堪能してほしい。

文＝酒寄美智子

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