「愛の不時着」に続くソン・イェジンの主演ドラマ「39歳」で、彼女の恋人・ソヌ役を務めたヨン・ウジン。ソヌと惹かれ合う2人の大人な関係性に魅了された人も多かったことだろう。そんなウジンも7月5日(火)には数え年で39歳を迎える。
これまでにもドラマ初主演となった「恋愛じゃなくて結婚」(2014年)や、パク・ミニョンと共演した時代劇「七日の王妃」(2017年)など、多彩なロマンス作品で深みのある演技を見せてきた彼だが、近年では話題の映画に立て続けに出演。約3年ぶりとなる映画『夜明けの詩』(2021年)では歌姫IUと共演しているほか、最新作『愛に奉仕せよ』では、上官の美しい妻との禁断の愛にのめり込む兵士を熱演。R18+指定されるほど濃密なベッドシーンでこれまでのイメージを覆す大人の魅力を見せつけ、話題を呼んだばかりだ。
そんな彼が映画撮影と並行させながら、2021年に出演したドラマ作品が「アンダーカバー(原題)」。初主演を飾った「恋愛じゃなくて結婚」や「内省的なボス」(2017年)など、これまでにもウジンとタッグを組んできたソン・ヒョンウク監督が手がける同作は、英BBCのスパイサスペンスドラマのリメイク。ウジンは、愛する人に正体を隠したまま恋に落ちるハン・ジョンヒョン役で、新たな魅力を発揮した。
社会が大きく揺れ動く1991年とそれから20年後という2つの時代が舞台となる「アンダーカバー(原題)」。1991年に生きる若かりし日のジョンヒョンを演じたウジンは、安全企画部に所属し、秘密裏に活動している敏腕エージェント。ある時、潜入捜査中に激しいデモの現場で出会った学生運動家のヨンス(ハン・ソナ)にひと目惚れし、自身の経歴を隠したまま結ばれる。
それから20年が過ぎ、ヨンス(キム・ヒョンジュ)は人権派弁護士になり、ジョンヒョン(チ・ジニ)は自閉症の息子の面倒を見ながら、良き夫・良き父として妻を支えてきた。だがある日、ヨンスに高位公職者犯罪捜査処のトップ就任の話が持ち上がる。ジョンヒョンはかつての同僚から妻の就任を止めさせるよう脅迫を受け、穏やかな日々が一変する――という緊迫感あるストーリーが描かれる。
20年もの間、安全企画部のエージェントだった過去を隠し生きてきたジョンヒョン。自身の人生を捧げる決断をした運命の相手、ヨンスへの深い愛情は本物だ。
かつては20歳で司法試験にパスするほどの秀才であり、勇気ある女子学生だった彼女にひと目で魅了された若かりし日のジョンヒョンも、土埃舞う中での制圧隊との乱闘シーンなどでは激しいアクションを展開。学生たちを逃がすため、収容車両の中でわざとヨンスにケンカを吹っ掛ける場面もあり、命懸けで特殊任務を遂行する敏腕ぶりに、序盤から目を奪われる。
その後、2人は再会を果たすが、デモ現場とは打って変わってはにかんだ様子を見せるヨンス。彼女の美しさに目を奪われ、少し気おくれしながらもデートの約束をするジョンヒョンの様子は、戦場のような現場で大乱闘を繰り広げた人物とは別人のよう。
やがてデートを重ねた彼らは互いに惹かれ合い距離を縮めていく。誰もいない工場のグラインダーで一緒に指輪を作り、ヨンスの指にはめながらぎこちなくキスを交わす場面は、ジョンヒョンの心の昂ぶりがリアルに伝わってくる名シーンだ。
ジョンヒョンがヨンスに一途に惹かれていく過程が丁寧に描かれているからこそ、20年後の彼がキャリアを捨て、家族のために日々を送っていることに説得力が生まれる。そして、その愛が強ければ強いほど、ヨンスに自分の正体を隠し通す罪悪感も増していく。その感情の襞(ひだ)を際立たせるウジンの陰影ある表情が見事だ。
6月24日より全国順次公開中の『愛に奉仕せよ』に続いて、韓国版『ジョゼと虎と魚たち』のキム・ジョングァン監督作で、歌姫IUことイ・ジウンと共演する『夜明けの詩』も11月25日(金)から日本公開が決定、そして8月には3年ぶりの来日ファンミーティングも控えるなど、日本での注目度が高まっているウジン。年齢を重ね、ここにきてキャリアをさらに加速している今、深みを増す彼の演技から目が離せない。
文=酒寄美智子
放送情報
アンダーカバー(原題)
放送日時:2022年7月19日(火)6:05~
※毎週(月)~(金)6:05~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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