永瀬廉坂東龍汰前田拳太郎が人とコミュニケーションを取る上で大切にしていること「本音で会話していきたい」

――今回は3人でアフレコすることも多かったと思うのですが、お互いの演技についてはどう思いましたか?

永瀬「優太は特に声を高くして演じている部分があるので、すごいなと思いながら見ていました。その設定をキープしたままお芝居するって、やっぱり難しいと思うんですよ。鳴子くん(坂東の呼び名)はドスを利かせる部分があって、普段の鳴子くんからは想像できない演技だったので新鮮さを感じました」

坂東「廉は、初日にアフレコブースに3人で入って、第一声を聞いた瞬間から恋に落ちました。永瀬廉と聞くとまずは顔がどうしても思い浮かんだりすると思うんですけど、聞けば聞くほど秋にしか聞こえなくてすごいなと思いました。前ちゃんは(自分とは)全然違うキャラを演じるって、くすぐったくならなかった?(笑)」

前田「顔が映ってたら多分できないです(笑)」

坂東「わかる。前ちゃんも全く前ちゃんを感じさせなかったので、正直めっちゃ焦りました。あまりにも素敵な声だったので」

前田「ありがとうございます。実際に3人揃ってアフレコした瞬間に、これが正解だって2人を見て思いました。でも、龍汰くんが言ってくれた通り、2人の演技が想像を超えてきたからこそ、焦りました」

坂東「いいことだよね。お互い焦らせるっていうのは」

前田「それこそ秋は作品の中で振り幅が大きいキャラクターで、感情を出すシーンでは廉くんが引っ張ってくれましたし、龍汰くんもこの3人の雰囲気を作ってくれて、すごくありがたかったですね」

――3人の和気あいあいとした雰囲気が伝わってくるのですが、アフレコ現場のエピソードを教えてください。

永瀬「マイクに近すぎるって怒られました(笑)。喋るたびにどんどん距離が詰まってしまうんですよ。監督に注意されるのはいいんですけど、鳴子くんにも注意された時はもう終わったなと思いましたね」

坂東「いや〜面白いですよ、本当に(笑)。マイクの距離がわかんなくなるくらい入り込んじゃうんでしょうね」

永瀬「癖なんだろうね。歌ってる人って自分が心地いいマイクとの距離感があって、僕はいつもマイクに口をつけるんですよ。マイクを見ると近づきたくなるんですよね」

坂東「あと、前ちゃんは優太の役が抜けたままアフレコしたことがあったよね」

前田「ありましたね(笑)。同時に他の役もやっているので、優太が定まらなくなってくるんですよね。チューニングを合わせるのが少し難しかったです」

坂東「僕はマイク前で大暴れしちゃって...」

――大暴れというと?

永瀬「ガサガサゴソゴソうるさいんですよ。まだマイクとの距離が近いほうがマシでしょ」

坂東「途中から靴脱いで裸足でやったりとか、色々と工夫はしてたんですけど、それでもうるさかったと思いますね」

永瀬「裏でのハプニングが多すぎて、3人とも問題児だったと思います(笑)」

ーー本作では人との繋がりを考えさせられるシーンがたくさん登場します。みなさんは人とのコミュニケーションで大切にされていることはありますか?

永瀬「相手が今どういう気持ちでいるのかを想像しながらコミュニケーションを取ることですね。それが当たってる当たってない関係なく、こういうことを言いたいんだろうなと自分なりに汲んでみたり、ほしそうな言葉を想像してみたり。ある意味気遣いながら話してる部分はあります」

坂東「この業界に入りたての頃は、なんでも知りたいという感じで人に対して興味津々だったんですよ。でも最近はこのお仕事をやる上で人との会話ってほんとに大事だなと感じさせられて。何も言わなくてもいい芝居が生まれるかもしれないけど、その前にお互いのプランとか気持ちのすり合わせができていた方が、さらに上のレベルに持っていけることが多かったので、本音で会話することも心がけています」

前田「最近はコミュニケーションについて考える機会が増えたんですけど、僕はコミュニケーションをサボりがちなんです。普通に会話はしますけど、自分が思ったことを伝えずに自分の中で消化してしまうことが多くて。やっぱり関係がこれで変わってしまったら嫌じゃないですか。でも、この『ふれる。』という作品を通して、自分の気持ちを伝えることの大切さに気づきました」

――今回の現場ではお2人とは積極的にコミュニケーションはできたのでしょうか?

前田「2人がすごい話してくれるから自分からは遠慮してました。こういう時もっと行けばいいんですけど...」

坂東「でも、それはそれで俺は素敵だと思うんですよ。そういう奥ゆかしさみたいなものって自分にないからこそ、かっこいいなって」

永瀬「鳴子くんは2分喋んなかったら死んじゃうもんね」

坂東「この間、マグロって言われたもん(笑)」

永瀬「マグロだよね、絶対(笑)」

取材・文=川崎龍也 

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