――敵となる幼馴染のウルフとヘラの関係性について、小芝さんはどんなことを思われましたか?
「愛っていろんな形があって、異性としての愛もあれば、家族に近い友人としての愛もある。それがズレると、こんなにも恨みに変わってしまうのか、愛情っていきすぎると怖いな...と思いました。ウルフの愛情って現代的に言うと闇属性というか、重いのかな(笑)。
でも、ウルフ自身も最初からそうではなくて、幼い頃は言葉は強くても思いやりがあったんです。ヘラは、そうした彼の優しさを知っているからこそ、最後までウルフのことをどうにかできないかと悩んだし、諦めきれなかったと思うんです。幼馴染だからこそ、簡単に踏ん切りがつかない...。彼の人柄を知っている分、辛い戦いになったなと思います」
――そう考えると、「ロード・オブ・ザ・リング」三部作とはまたテイストが違う内容ですよね
「そうですね。三部作の方は欲望の塊みたいな感じだったのですが、今回は民への愛だったり、家族の愛だったり、異性としての愛が歪んでしまったり...愛がいろんな方向に向かっているようにも感じました」
――国を統率するヘラを演じるなかで、彼女から影響を受けたことはございますか?
「国のトップとして、王家の一人としての自覚、『民を守らなきゃいけない』という覚悟に感銘を受けました。私も年齢を重ねていくにつれて、主演を任せていただいたり、年下のスタッフさんがいらっしゃったり、共演者の方がどんどん増えたりするなかで、『ヘラが王女だったら大丈夫』と思うのと同じように、安心感のある現場作りができたらいいなと思いました」
――今回のように、役から大切なものを得たり、学んだりすることも多いのでしょうか?
「多いです。以前は、私自身、周りの目を気にして生きていました。そんななか、『周りにどう思われるか気にしていたけど、好きなものは好きでいいじゃない。自分の人生は自分のものなのだから』と気づいて成長していく役を立て続けにいただいたんです。そのときに『そうだよな』と自分自身でも腑に落ちました。もちろん人に迷惑をかけるとかはダメですが、一回きりの自分の人生なんだから、もっと自由でいいんじゃないかと思えたんです。
周りの目に縛られすぎて、息苦しいなと思うことも多かったんですけど、そういう役をいただくと勇気をもらえますし、『こんなふうに強くありたいな』と思うことで、私自身も少し強くなれたような気がしました」
取材・文=浜瀬将樹 撮影=MISUMI
スタイリスト=成田佳代
ヘアメイク=石川ユウキ
衣装協力
・SHIROMA
・ete
・Jouete
映画情報
映画「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」
2024年12月27日(金)全国公開
製作総指揮:ピーター・ジャクソン
監督:神山健治
声の出演:市村正親、小芝風花、津田健次郎、山寺宏一ほか
詳しくはこちら