山寺宏一×園崎未恵×石見舞菜香が語る、"吹き替え"に込めた矜持 『ジュラシック・ワールド』新録版で感じたお互いの印象も

声優

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――新録版という、すでにファンの多い大作を改めて吹き替えることへのプレッシャーや、やりがいについてはいかがですか?

山寺「精神的なプレッシャーは正直大きいです。『なんでまた新録版を作るの?前の吹き替えでいいのでは?』という声も当然あるでしょう。でも、より多くの人に"吹き替え版の面白さ"を届けたい、ベストを尽くすしかない、という使命感を持って臨んでいます。自分が憧れていた大先輩――たとえば富山敬さん、小川真司さん、永井一郎さんらが築き上げてきた吹き替え文化のバトンを受け継ぐ気持ちで挑んでいます」

園崎「私も、完成された吹き替え版がすでに存在する中で、どうやったら"新しい楽しみ方"を届けられるかを考えました。ディレクターやキャストも変わり、微妙にニュアンスや演出も異なります。同じ作品でも、何度も味わってもらえる面白さをどう作るか。それが新録版の意義だと思っています」

石見「私の場合は、前作の子役の方が本当に素晴らしかったので、自分に務まるのか不安もありました。でも、真剣に役に向き合うことで、新しい一面を引き出せたらと、全力で取り組みました」

――今回は3人で一緒に収録されたそうですね。近年はコロナ禍もあり、個別収録も多かったと伺いますが、収録スタイルの違いや、それぞれ印象的だったことはありますか?

山寺「シリーズごとに収録の仕方も変わりました。1作目は僕一人で録ったんですが、2作目はキャストが集まり、3作目はこの家族3人での収録。かつては、みんなでスタジオに集まって、お昼も一緒に食べて......というのが普通でしたが、コロナ禍を経て個別収録も増えてきました。ただ、やっぱり全員で一緒に録ることで、同じ空気感・温度感が生まれますし、キャラクター同士の距離感や掛け合いの呼吸がよりリアルになりますね。今回、特に家族という役柄だったからこそ、3人揃っての収録はすごく意味があったと思います」

園崎「本当にそうですね。個別収録は一つのセリフにとことんこだわれる一方で、その場にいるからこそ生まれる"生"の反応や呼吸は、やっぱり全員収録ならではの醍醐味。今回は、劇中でも家族の距離感が大事なシーンが多いので、3人で共有しながら収録できたことで、作品の空気感を自然に醸成できたんじゃないかと思っています」

石見「私は初めての実写映画の吹き替えで、しかもお二人と一緒に収録ということで、もう緊張で手汗が止まらなかったです(笑)。ただ、やっぱり自宅で一人で練習しているのと、実際の現場で掛け合いをしながら演じるのでは、全く感覚が違いました。お二人の生の芝居を間近で感じられたことが本当に勉強になりましたし、息遣いや間、テンポの違いを肌で体験できたことは貴重な経験でした」

――それぞれが演じたキャラクターについて、魅力や成長、役作りのポイントなども教えてください

山寺「オーウェンは『ジュラシック』シリーズで初めて恐竜と心を通わせた人間。タフで、勇敢で、そしてとても人間らしい優しさとユーモアを持っています。クリス・プラット本人の魅力をどう日本語に乗せて届けるか、毎回自分なりに工夫しています。特に、メイジーを抱きしめるシーンには理屈を超えて大切なものを守る強さみたいなものが、オーウェンらしさに直結していると感じました」

園崎「クレアは、シリーズごとに家族や子どもとの距離がどんどん変化していく人物です。1作目では完璧なキャリアウーマンとして描かれていた彼女が、恐竜や子どもと関わる中で、人間的に成長していく。その過程を演じること自体が、私にとっても大きな挑戦でした。ブライス・ダラス・ハワードさんも、シリーズを重ねるごとにたくましくなっていって、最初はハイヒールで白のスーツだったのに、今やアクションも体当たりでこなす女優さん。そういう女優魂みたいなものにも背中を押されました」

石見「メイジーは、シリーズ初登場時は無邪気で少しイタズラっ子な面もありましたが、物語が進むごとに"自分が何者なのか"と向き合っていく繊細なキャラクター。クローンであることに悩みつつ、同じように"この世界に生きる意味"を探している恐竜たちに共感し、寄り添っていく姿が印象的でした。大人から愛情を受けながら、時には自分の殻を破って行動する......その成長を、できるだけ自然体で演じるよう心がけました」

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放送情報

『(吹)ジュラシック・ワールド【ザ・シネマ新録版】』
吹替:2025年7月21日(月・祝)16:15~、25日(金)18:45~
字幕:2025年7月21日(月・祝)8:15~、25日(金)10:15~
『(吹)ジュラシック・ワールド/炎の王国【ザ・シネマ新録版】』
吹替:2025年7月21日(月・祝)18:30~、26日(土)18:30~
字幕:2025年7月21日(月・祝)10:30~、26日(土)10:15~
『(吹)ジュラシック・ワールド/新たなる支配者【ザ・シネマ新録版】』
吹替:2025年7月21日(月・祝)21:00~、27日(日)21:00~
字幕:2025年7月21日(月・祝)13:00~、27日(日)12:45~
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