宮野真守「自分にできることを一生懸命やっているだけ」"憧れられる存在"としてのX役への向き合い方
声優

――誰でもヒーローになれるのがこの世界観の特徴ですが、もし宮野さんがこの世界で生きるとしたら、どんな立場を選びますか?
「難しいですね......。ただ、ナイスがスマイルに憧れたように、僕もきっとそうした存在には憧れたと思います。それがヒーローかどうかは別として、かっこいい存在には子どもの頃から惹かれていましたし、それがやがて夢につながり、目指すようになったんだと思います。今の仕事を志したのと同じように、もしこの世界にいたらヒーローを目指していたかもしれません。一方で、大人になった今の感覚でいうと、自分はXの立場に近いのかもしれないな、と。Xは自分の行動によってヒーローになってしまったと語りますが、その状況を受け入れて前に進む決断をしている。そこに共感する部分は大きいです。彼は口では残業が嫌だとか1位から引退したいと言いつつも、自分の立場を理解し、その責任を果たそうとしている。そうした姿には強く共感しますね」
――宮野さんはこれまでもさまざまなインタビューで「ヒーロー的な存在」として特撮を挙げられています。幼少期から現在まで、そうした"憧れの存在"は常に身近にあったのでしょうか?
「そうですね。僕自身は"テレビっ子"で育ってきたので、テレビに出ているタレントの皆さんが本当にキラキラして見えていました。子どもの頃はただ憧れるだけだったのに、今ではまさか自分がその方々と仕事でご一緒させていただけるなんて思ってもいなかった。もちろんそれは自分が歳を重ねたということでもあるのですが、続けてきてよかったなと、しみじみ思いますね(笑)」
――花江夏樹さんがイベントで宮野さんを"憧れ"と語る場面もありました。ご自身が"憧れられる存在"になったことについてはどう感じていますか?
「嬉しいですよ。ありがたいですし、本当に感謝しています。ただ、僕自身はスマイルのように誰かを育てようという意識より、Xの考え方に近いのかなと思います。自分にできることを一生懸命やっているだけで、その姿を見てくださった方が憧れると言ってくれる。それは本当にありがたいことですし、素直に嬉しいですね」

――本作には個性豊かなヒーローたちが登場しますが、気になるキャラクターや共感する部分はありましたか?
「やはりXの能力ですね。アニメーションの中で表現方法が2Dになったり、3Dになったり、ときにはドット風になったり。その理由については劇中で明言されていませんが、もしかしたらXが引き起こしているのかもしれないと思えるほど自然に映像表現に溶け込んでいました。そう考えると、彼の能力はアニメーションならではの魅力を持っていて、とても面白いなと感じました」
――ヒーローにはしばしば"二面性"が描かれます。Xについてもそうした側面があるのでしょうか?
「どうでしょう。今の段階では、Xは"二面性"というより"本意を隠している"だけなのではないでしょうか。まだ明かされていない部分があるだけで、二つの顔を使い分けているわけではないですよね」
――そしていよいよ最終話"X編"を迎えます。見どころを教えてください
「物語の真相に限りなく迫る回です。そしてそれをX自身が説明することで、彼がどれだけ多くを理解し、考えながら戦っている人物なのかがわかるはずです。ただ、それでも最後まで謎に包まれた部分は残ります。だからこそ、視聴者の皆さんにはこの物語はどういう姿だったのかを想像していただきたいですね。とにかく第24話ではXが本当によく喋ります(笑)。これまで謎めいていた彼がようやく言葉を発するので、ぜひ期待していただければと思います」
取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
作品情報
TVアニメ『TO BE HERO X』
放送:フジテレビほか、毎週日曜9:30〜
配信:Netflix、Prime Videoほかで毎週月曜12:00〜最速配信中
声の出演者:宮野真守、花澤香菜、内山昂輝、中村悠一、松岡禎丞、佐倉綾音、水瀬いのり、山寺宏一、島﨑信長、花江夏樹ほか
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