日本漫画界の巨匠・手塚治虫(※「塚」は正しくは旧字)の代表作の1つ「ブラック・ジャック」。"医療と生命"をテーマに、無免許の天才外科医とその患者たちが織り成す物語を描く医療ドラマは、「あしたのジョー」などを手掛けた出崎統(※「崎」は正しくは「立さき」)監督によるOVAや劇場版アニメが制作された後、2004年に手塚治虫の長男・手塚眞監督によってTVアニメ化された。
今回、長年にわたって主人公ブラック・ジャックを演じてきた声優・大塚明夫が、TVシリーズ全63話の中から厳選した名エピソード5話をセレクト放送する「大塚明夫が選ぶ!『ブラック・ジャック』ベストエピソード5選」が、7月14日(日)にファミリー劇場で放送される。この特別企画のオンエアに先立ち、大塚にインタビューを敢行した。
――今回の企画を初めて聞いた際の感想をお聞かせください。
「全話観返さないといけないかなって思ったんですけど、意外とあらすじを読んだだけで『ああ、そうだった』って思い出すことができました。全部観なくても大丈夫で、助かりましたね(笑)。今回選んだ5つのエピソードは、印象に残っているということですね」
――ブラック・ジャックを演じるきっかけは、どういったものだったのでしょうか?
「偶然ですね。もともと違う方が演じられることが決まっていたんですけど、収録前にその方の具合が悪くなったんです。アフレコ初回は2本収録する予定で、そのどちらかに僕がキャスティングされていたんですけど、音響監督が『明夫ちゃん、できるんじゃないか』って。だから偶然、ブラック・ジャックが僕のところに来てくれたんですよね」
――手塚眞監督による「ブラック・ジャック」の魅力はどういったところにあると思われますか?
「『ブラック・ジャック』という作品の、ものすごく間口の広い入口になっているところです。原作の連載は僕が子供の頃で、学校の図書館やマンガ喫茶にあっても、小さな子供たちが手に取る機会は少なかったかもしれませんね。でも、TVアニメとして2年もの間、毎週オンエアされたことで、かなり昔の作品を小さな子供たちが知って面白いなと思ってくれて、作品に明かりが当たるきっかけになったと思います」
――ピノコを演じていた長年の相棒・水谷優子さんは2016年に逝去されましたが、水谷さんとの思い出に残っているエピソードがありましたらお聞かせください。
「当時は台本が手書きだったんです。『Karte:48 コマドリと少年』の台本で、『コマドリ』の『マ』が書き癖のある字で『ス』に見えたんです。舌っ足らずなピノコは『コマドリ』を『コマロリ』っていうんですけど、それが『ゴスロリ』みたいで(笑)。そんなふうに言っていたら、本番で水谷さんが『ゴス...』って言っちゃったんですよ。『ごめん!いらんこと言わなきゃ良かった』って謝りましたね」
――今回の企画を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします。
「私はもっと未成熟でとんがっていて青臭い、生意気なブラック・ジャックを演じたいとずっと思っています。皆さんの力を束ねて1つムーブメントを起こし、新しく『ブラック・ジャック』を作れという声を大きく張り上げていただきたいなと。『ブラック・ジャック』は面白い、でも食い足りないという方がいらしたら、ぜひアクションを起こしてください!」
文=中村実香
放送情報
大塚明夫が選ぶ!「ブラック・ジャック」ベストエピソード5選[Karte:00、02、11、44、52]
放送日時:2019年7月14日(日)17:30~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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