三月のパンタシア・みあが素顔で語った思い「自分自身の物語をありのままの姿で」

Photo by 鈴木友莉

音楽ユニット・三月のパンタシアが、ワンマンライブ『三月のパンタシア LIVE 2021「物語はまだまだ続いていく」』を2021年11月27日に東京・豊洲PITにて開催した。有観客でライブを行うのは2020年1月の『三月のパンタシア LIVE 2020「18時33分、冬もまた輝く」』以来1年10ヶ月ぶり。2021年6月に配信されたオンラインライブ『三月のパンタシア 5th Anniversary Live「もう一度、物語ははじまる」』で、ファンと「極彩色の物語を届ける」と約束した、みあ(Vo.)がついにその約束を果たすこととなった。

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ステージを覆うように紗幕が下された状態で会場が暗転。みあがステージに登場し、アップテンポの「101」でライブをスタートさせた。紗幕には同曲のミュージックビデオが映し出され、その向こうでうっすらと、みあのシルエットが浮かび上がる。バンドが織り成す軽やかなリズムに乗せて、彼女が力強いパフォーマンスを展開。続く「ピンクレモネード」ではタイトルに合わせて紗幕がピンクに染まり、ポップな曲調にファンも腕を振り上げて応えた。

2曲歌い終えると、みあは「久しぶりだね。今日はこの最大の幸福と喜びを目一杯分け合いましょう」と客席に向かって呼び掛ける。そして「フェアリーテイル」「恋はキライだ」「パインドロップ」と、ポップでノリの良い楽曲を立て続けに披露。紗幕を使った映像演出と相まって、会場は曲ごとに異なるカラーに包まれていく。その後も花火などを映し出したピアノバラード「キミといた夏」、ロック色の強い「夜光」、ダンサブルな4つ打ちナンバー「ミッドナイトブルー」、2015年に初めてYouTubeに投稿された原点の1曲「day break」と、緩急に富んだ選曲でファンを楽しませ続けた。

東京・豊洲PITでワンマンライブを開催した三月のパンタシア・みあ
東京・豊洲PITでワンマンライブを開催した三月のパンタシア・みあ

Photo by 鈴木友莉

「はじまりの速度」に突入したところで、それまでステージと客席の間に下されていた紗幕が突如外され、みあとバンドメンバーがその姿を現す。これまでのライブは照明を極力落とし、表情や姿が見えにくい形で行ってきたが、この日は照明がみあを照らし、またその素顔もステージ後方のスクリーンに映された。これまでにない演出に会場の熱気は急上昇。みあはステージ上を所狭しと動き回り、客席に向けて手を振り続けた。続く「青春なんていらないわ」ではサビのリズムに合わせて観客がジャンプし、疾走感の強い「醒めないで、青春」では手首をぐるぐる回すなど、ステージと客席の距離は急速に縮まっていった。

MCでは、みあが「いつもはもう少しだけ暗がりの中で歌ったり話したりしているので、実はこういう形で会うのは初めてだね。今回のライブのテーマが『再会の喜びと幸福を分け合う』だったので、私もテーマに沿った光あふれるステージを作ってみたいと思ったのが1つと、まだみんなが十分に声を出せない状況の中で、お互いの表情をより見えやすくすることで、さらに音楽を感情的に共有できるんじゃないかなと思ってのチャレンジでした」と、今回の試みについて語った。そして「次の曲でさらに幸福になりましょう!」と口にすると、「幸福なわがまま」をオリジナルのフラッグを肩に掛けて歌唱。さらに、アップテンポの「三月がずっと続けばいい」を連発して盛り上がりは最高潮に。

Photo by 鈴木友莉

みあが「まだ全然終わりたくないんだけど、次(の曲)で最後」と告げると、初めて素顔でステージに立った理由を話し始めた。「活動を始めた頃は、私自身歌うことだけで精一杯でした。なので、自分の三月のパンタシアの中での役割は、誰かが紡いだ物語をリスナーに伝える人物、いわば語り部だと思っていたんです」と、自身の当初の立ち位置を明かす。「でも、活動を続けていく中で、だんだん自分でも音楽で表現がしてみたい、思いを伝えたいという気持ちが大きくなって。以前は誰かの物語を伝える存在だったけど、今は"みあの物語"を伝える当事者としてみんなの前に立つようになりました。いつかは自分自身の物語を素顔のまま、ありのままの姿で届けてみたいと思うようになりました」と、表現の仕方の変化に伴い自身の感情も変わっていったことを明かした。

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そして「"みあの物語"を歌詞にした曲です」と、クライマックスにふさわしい「ランデヴー」で会場を温かく包み込み、ライブタイトルにも用いられた最後の一節<物語はまだまだ続いていく>を優しく歌い上げライブ本編は終了した。その後、みあとバンドメンバーが再び登場し、アンコールは「たべてあげる」からスタート。さらに、この日のために用意した新曲「幸せのありか」も初披露され、思わぬサプライズにファンからは大きな拍手が鳴り響いた。再会を祝福する歌詞からは、新たな一歩を踏み出したみあの決意表明にも感じられ、彼女がこのライブに向けて約束した「極彩色の物語を届ける」という思いとリンクした。

最後に、みあは「今日がずっと待ち遠しくて、すごくドキドキしていたけど、始まるとあっという間だね。でも、またすぐに会えますから。またライブハウスで会いましょう!」と告げて、ラストナンバー「街路、ライトの灯りだけ」でファンと幸せや喜びを分け合いながらステージの幕を下ろした。

文=西廣智一

<セットリスト>
01. 101
02. ピンクレモネード
03. フェアリーテイル
04. 恋はキライだ
05. パインドロップ
06. キミといた夏
07. 夜光
08. ミッドナイトブルー
09. day break
10. はじまりの速度
11. 青春なんていらないわ
12. 醒めないで、青春
13. 幸福なわがまま
14. 三月がずっと続けばいい
15. ランデヴー
EN1. たべてあげる
EN2. 幸せのありか
EN3. 街路、ライトの灯りだけ

<三月のパンタシア Profile>
"終わりと始まりの物語を空想する"ボーカリスト「みあ」による音楽ユニット。
どこか憂いを帯びた「みあ」の歌声で紡がれるストーリーが、ときに優しく、ときに切なく、聞き手の心に寄り添い多くの共感をよぶ。
2018年からは、みあ自らが書き下ろす小説を楽曲の軸とし、"音楽×小説×イラスト"を連動させた自主企画『ガールズブルー』をWeb上で展開。"言いたくても言えない切なさ""素直になれない心の詰まり"を音楽に昇華し、青春期という多感な季節の揺らぎをポップに描く。
2021年11月27日、約1年10ヶ振りとなる有観客ライブ『三月のパンタシア LIVE 2021 「物語はまだまだ続いていく」』を豊洲PITにて開催し、ライブ内のMCで、今後は自分自身が表現する物語を伝えるために素顔を公開しリスナーの前に立つことを発表。
2022年3月9日(水)にはNew Album「邂逅少女」のリリースが決定。アルバムを引っさげて、3月18日(金)大阪・なんばHatch、3月27日(日)東京・ZEPP Hanedaでの東阪公演開催が決定している。

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放送情報

三月のパンタシア LIVE 2021「物語はまだまだ続いていく」
放送日時:2022年2月5日(土)21:00~ほか
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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