清原果耶の異彩を放つ存在感と演技力に圧倒される...人間の善と悪を描く映画「デイアンドナイト」

(C)「デイアンドナイト」製作委員会

阿部、安藤、田中らベテラン俳優陣の中で異彩を放っていたのが、500人もの応募が集まったオーディションから選ばれ、ヒロイン・奈々役を射止めた清原だ。撮影当時、15歳だったとは思えない演技力に、藤井監督は「15 歳にして 2、3回人生をやり直している人だ」と言ったそうだが、その例えはぴったりだ。

清原が演じる奈々は、17歳の高校生。親の顔も知らずにずっと児童養護施設で育ってきたが、その悲しみや孤独を表情には出さずにひたすら絵を描いている。「親は東京にいる」と聞いていた奈々は東京から来た明石に興味を示し、明石も彼女の存在が気になっていく。ある日、明石を見つめて「彼女になってあげようか?」と明石を戸惑わせ「嘘だよ、ロリコン!」と返す...そんなさり気ない場面に、明石と奈々の関係性と奈々の性格が上手く描かれている気がする。

淡々としている奈々が感情をあらわにするのが、安藤との滝壺でのシーンだ。物語の結末へと流れ込む複雑な関係の2人の感情が交錯するシーンは、雪景色の中、サイレントで進む。名優・安藤と堂々とやりあう清原の演技は、15歳とは到底思えない迫力。この作品の名場面となっている。

「善と悪は法律では決められない。自分の正義を信じないと、大切な人を守ることはできない」と北村は言う。正しいことをしている人間が追い詰められていき、善と悪が何なのか、そして今、自分はどちら側にいるのかがわからなくなっていく。家族を殺された男。家族を生かすため罪を犯す男。家族を知らない孤独な少女...。「デイアンドナイト」は、そんな人間たちそれぞれの抱える善と悪を描いた骨太な作品だ。

エンドロールでは清原が大野奈々名義で歌った主題歌「気まぐれ雲」が流れる。RADWIMPSの野田洋次郎が作詞・作曲・プロデュースを手掛けた楽曲を清原の声が彩るが、その透明感はまるでこの物語に寛容を与えてくれるかのようだ。

文=坂本ゆかり

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放送情報

デイアンドナイト
放送日時:2023年4月22日(土)11:05~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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