本作で中村が演じたのはマクベスのマネージャー・楠木実籾で、第8話では楠木のエピソードも登場。意外な過去をきっかけにマネージャーになったが、仕事を楽しめていなかった楠木。しかしマクベスと出会い、"4人目のマクベス"になったつもりで仕事をし、「青春時代に戻ったような熱い時間を過ごした」という。中村は2021年末に行われたオンライン単独トークイベントで「今年、『コントが始まる』に脇役で出たのが自分としてはメモリアルでした。良い出方をしたと思います」と語っていたが、中村にとってもトップコート3兄弟(中村倫也、松坂桃李、菅田将暉)と呼ばれるほど仲の良い同じ事務所の弟分・菅田との共演で、楠木と同じような気持ちを持ったのではないだろうか。
作中にはマネージャー・楠木のほかに、マクベス結成を後押しした高校時代の恩師・真壁(鈴木浩介)、3人の行きつけの焼き鳥店の店主・安藤(伊武雅刀)などマクベスよりも年上世代の人物たちも登場するが、彼らにとってももがきながら生きているマクベスは青春を思い出す"情熱の象徴"だったのかもしれない。そして、解散してそれぞれの道を歩き始めるマクベスの未来像こそが、この大人たちのような気もする。
ドラマのオープニングでは毎回、マクベスのコントステージが展開されるが、実はこれが物語の前フリとなっている。ただのコントと思わずに、じっくり見るべし。また、解散ライブのネタ順が、このコントの放送順になっているのもよく考えられている伏線なのだが、そんな難しいことを抜きにしても、コントの役柄で女装する神木の可愛らしさは必見。
「よくぞこのメンバーをキャスティングした!」と思えるほど、主演から脇役まで演技派俳優たちが揃っている作品。そこかしこに伏線がバチバチに張られているので、何度も見返したくなるドラマだ。誰かを支えるということは、自分自身が支えられることでもある。芸人としての夢は叶わなかったかもしれないが、それぞれが幸せな生き方を見つけていく。「マクベスとは何だったのか」を登場人物それぞれの視点で考えさせられる温かな青春ドラマでの、脇役としての中村倫也の演技をじっくり見てほしい。
文=坂本ゆかり
放送情報
コントが始まる 一挙放送
放送日時:2023年5月7日(日)19:50~
チャンネル:ファミリー劇場
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