大河ドラマ「光る君へ」へ出演予定の本郷奏多がドラマ「アカギ」で見せた演技力

© 福本伸行/竹書房/スカパー!

わずか13才の生命知らずの雀士、赤木(本郷)は、その腕を見込んだ仰木(田中要次)と刑事・安岡(神保悟志)によって、この世の富を欲しいままにしてきた"闇の帝王"鷲巣(津川)の屋敷に刺客として送りこまれる。そこで行われるのは"鷲巣の現金を得る代わりに自分の血液を賭ける。ヤマを積まない"など独特のルールがある鷲巣麻雀だった。側近たちに囲まれ、不気味な屋敷に暮らしている鷲巣は各界の大物たちとのパイプを持つ、勝ち続けてきた男。

これまでに多くの若い雀士が鷲巣麻雀で血を抜き取られ、生命を落としてきた。赤木はそんな鷲巣と対面しても顔色ひとつ変えず、爺さん呼ばわり。「成功の毒がヤツを狂わせている」と分析する。ほぼ全編、赤木と安岡、鷲巣と側近の4人による麻雀シーンだが、知識がなくても面白いのは5億の財産を失うか生命を失うかのギリギリの対決と心理戦(心の声が台詞となっている)が描かれているから。本郷自身、見どころは採血シーンと語っていたが、負けるたびに血を抜かれ、勝てば輸血も可能なのにそれを拒否し、「金に換えてくれ」と戦いを続ける赤木は尋常ではない。悪のカリスマを醒めた視線で凝視し、仰木と安岡の助言も聞かず、挑み続ける若者の自信と危うさを本郷がみごとに表現している。

■常軌を逸した戦い、達観した赤木の台詞も刺さってくる

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初めは小僧呼ばわりしていた鷲巣も赤木の才覚と死ぬことすらも恐れない勝負の仕方に徐々に顔色を変え、赤木を天才と紙一重の狂人だと認識するようになる。本作には多くの印象に残る台詞が出てくるが、赤木の「俺はいつもと同じ。ピンチだろうがチャンスだろうが常に平常。それこそが勝ちを呼び込む唯一の手段だ」という言葉は名言。口癖は「死ぬ時が来たら、ただ死ねばいい」だ。津川雅彦の圧が半端ではない存在感と怪演に臆することなく、若き雀士を演じた本郷の演技に着目したい。

文=山本弘子

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放送情報

アカギ<TVドラマ> #1
放送日時: 2023年8月3日(木)23:00~
チャンネル:MONDO TV
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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