佐藤勝利&神尾楓珠が「切り替え」の演技で魅せる役者としてのポテンシャル

物語は優里目線で描かれていき、胸キュンシーンや悲しく切ない場面など、心を震わせる展開が盛りだくさんなのだが、青春恋愛ドラマだけではなくホラーな部分も有しているのが特徴で、ふとした瞬間に背中が寒くなるところが見どころだ。そんな内容の中で、佐藤と神尾の役者としての魅力が最も感じられる部分が"切り替え"だろう。

佐藤は幽霊になっても明るく優しい青野を演じている。いつも優里の隣にいて、励ましたりからかったりしながら優里の背中を押すキャラクターなのだが、ある瞬間に悪霊の"黒青野"になるところがポイント。序盤は、青野自身なぜ"黒青野"になるのか分からず戸惑っているのだが、話が進むにつれ物語を新たな展開に誘うキーポイントとなっている。その変化を佐藤は見事に表現。最初の"黒青野"の登場では、一瞬「佐藤ではないのでは?」と思ってしまうくらいの切り替わりようで、彼の役者の幅を感じさせてくれる。「正に別人」という表現が当てはまるくらいで、「これほど自身と全く異なるキャラクターを大胆に演じることができるのか」と驚かされる者も少なくないはずだ。普段、アイドルとしての佐藤に魅せられているファンも、役者としての佐藤の魅力に虜になってしまうこと間違いなしだ。

一方、神尾はクールな藤本を熱演。冷静で冷たい印象の藤本を"お家芸"かのようにナチュラルに演じる。言葉少なく目立つ行動はしないのだが、ついつい一挙手一投足が気になってしまうというキャラクターを作り上げ、視聴者を作品世界に引っ張っていく。そんな中で、特筆すべきは青野が藤本に取り憑いてしまうシーンだ。神尾は"体は藤本、心は青野"という状態を演じなければならないのだが、その"切り替え"が圧巻。佐藤が作る青野像を上手く再現し、藤本に青野が取り憑いていることに気付いた優里が発する「青野くんだよね?」というセリフに説得力を持たせている。藤本の身体に青野の魂が入っているという状況を、藤本にはない"青野の滲み出る明るさ"を損なうことなく表現することで、底知れない演技のポテンシャルを感じさせてくれる。

青春&恋愛に加え、ホラー要素も兼ね備えた見始めたら"沼"ってしまうストーリーもさることながら、次世代を背負うであろう若い2人が魅せる"切り替え"の演技から彼らの高い演技力も堪能してほしい。

文=原田健

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放送情報

青野くんに触りたいから死にたい
放送日時:2023年12月2日(土)0:00~
チャンネル:WOWOWプライム
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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