声だけだからこそ堪能できる、桜井日奈子の圧倒的な表現力「主観ドラマ オートリバースの恋」

つまり、桜井はクライマックスで現在の姿の彼女として登場はするが、ほとんどは声だけで姿が映っていないのだ。

芝居とは、表情や所作などを伴いつつ口調やトーン、言い回しなどを駆使して表現していくものだが、この作品では表情や所作といった目に見えるものを剥奪された状態で表現しなければならないにもかかわらず、桜井は隣にいるかのように感じるほどナチュラルに演じている。

そして、驚くべきは声だけにもかかわらず感情の変化を豊かに表していること。デート中、彼女の喜怒哀楽全ての感情が描かれるのだが、その移り変わりが絶妙で、それぞれの感情をグラデーションで見せる表現力たるや半端ではない。"岡山の奇跡"と称される美しいビジュアルのため、「桜井日奈子=演技力」というイメージよりもルックスの良さが強く印象に残りやすいが、この作品では圧倒的な表現力を惜しむことなく全面に出して繊細に機微を表している。

10年という長い期間女優として活躍し続けられるのは、ビジュアルだけでなく実力も伴っているからこそだ。そんな彼女の表現力だけを抽出して楽しめる作品は、この作品以外ないだろう。チャレンジングな作品の、これまでにない没入感を追求した挑戦的な面白さを楽しみながら、彼女の圧倒的な表現力を堪能してほしい。

文=原田健

この記事の全ての画像を見る

放送情報【スカパー!】

主観ドラマ オートリバースの恋
放送日時:1月15日(月)19:30~ほか
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

関連記事

記事の画像

記事に関するワード

関連人物