上川隆也演じる崖っぷちのミステリー作家・六波羅一輝が、沖縄が舞台の第3弾でようやく奮起!?

なんと、現在のカミツカサのトップであるワカ(岡田茉莉子)が六波羅の前に突如現れ、二人がここに来たのは神の意志で、何があっても最後まで儀式を見届けないと死ぬだろうと告げるのだ。恐ろしいお告げに二人は驚くが、こうして取材を許された二人は儀式だけでなく、島内で起こっているリゾートホテル建設のための対立についても知ることとなる。

反対派に属するキジムナー爺(笹野高史)によると、ホテルの建設予定地はガジュマルの生息地で、島にいるキジムナー(樹木の精霊)の住処でもある。そのため、家を壊されようとしているキジムナーたちは怒っており、じきに海で人が死ぬだろうと予言する。それを聞いた北村は、そのまま小説の題材になると大喜びするが、その翌日、本当に海で人が死んでしまう。しかし、被害者はホテル建設賛成派ではなく、カミツカサの後継者である高子(手塚真生)の恋人の反対派リーダーだった。それから、しばらくすると今度は高子が継承することを面白く思っていなかったベテランカミツカサのクラ(銀粉蝶)が殺される。"ホテル建設"と"カミツカサの継承"が交差し、犯行の動機や犯人像が不透明になっていくが、だからこそトリックオタクである六波羅の推理スイッチが入るのだ。

今回の「ニライカナイの語り部」だけを見ても十分に楽しめるが、第1・2弾を知っているとより上川の芝居の変化を楽しめるはずだ。いつもは北村に流されるまま取材に参加していた六波羅だが、今回は全てにおいて積極的で六波羅の成長を感じさせる。捜査には大きな目をさらに丸くして取り組み、高子たちには強くやさしい眼差しで向き合う。さらに北村とのコンビネーションも増し、ツッコミを入れるシーンでは北村が六波羅に飛び蹴りを食らわすほどコミカルさもアップしているが、物語はクライマックスに向けてシリアスさを増していく。

島民や観光客が減り、仕事が減り、おまけに取れる魚も減っている。島自体の存続が危ぶまれ、生きていくためにホテルの誘致は必須。その中で殺人事件が起こる。大切な自然や人を守るために起きるのだ。コミカルさがありつつ、シリアスでもある。このアンバランスな要素をまとめ上げているのは、いうまでもなく上川の存在感だ。静かで力強くやさしい彼の眼差しが、全てを包み込み昇華させている。ただ、面白い小説のプロットを書き上げることができるかどうかは...見てのお楽しみだ。

文=及川静

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放送情報【スカパー!】

ミステリー作家 六波羅一輝の推理3 ニライカナイの語り部 (主演・上川隆也)
放送日時:4月10日(水)13:00~
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※第1弾は4月8日(月)13:00~、第2弾は9日(火)13:00~放送
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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