さらにふたりの父親の弁護士・北村敬太郎を演じるのは「あぶ刑事」の近藤課長役で知られる中条静夫。コミカルな味わいを出すために、多くのシーンでパジャマ姿で登場しているというのも同作ならではの味わい。「あぶ刑事」を手掛けたスタッフ・キャストが多数参加しているということもあり、個性豊かなキャラクターたちが繰り広げるコミカルなやり取りや、激しいアクションなど、「あぶ刑事」を彷彿とさせるような内容は必見だ。
本作の製作を担当したのは、日活出身の黒澤満プロデューサー率いる制作プロダクション、セントラル・アーツ。松田優作の主演映画・ドラマ作品をはじめ、「あぶ刑事」「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズなどで知られる同社の作品群からは、数多くの若手スタッフやキャストなどが輩出されたが、本シリーズでも、第1話のメイン監督を務めた成田裕介を筆頭に、一倉治雄、鹿島勤、原隆仁(余談だが、息子の原廣利は最新作「帰ってきた あぶない刑事」の監督を務めている)ら、「あぶ刑事」で助監督(後に監督に昇進)を務めた多くの若手スタッフが参加。さらに撮影の柳島克己、仙元誠三、照明の井上幸男、技斗の高瀬将嗣など、セントラル・アーツ作品お馴染みのメンバーが勢ぞろい。勢いとパワーがみなぎった、時代の空気を感じることができる。
セントラル・アーツ作品の特色といえば、アドリブを積極的に取り入れ、現場で生まれるライブ感を大切にするところにある。「あぶ刑事」では主に柴田恭兵が率先して「役者もいろいろと提案していこう」と提唱し、現場では常にアドリブが飛び交っていたというが、本作でもその空気感は健在。劇中では「あぶ刑事」や「仮面ライダー」(北村の後輩・ハジメを演じた倉田てつをがライダー俳優であるため)のパロディはもちろんのこと、「ビー・バップ・ハイスクール」や「探偵物語」などのセントラル・アーツをネタにしたパロディーなどが次々と登場。
さらに森恵演じる北村家のハウスキーパー・くるみが「あぶ刑事」のビデオを徹夜で見るほどのファンであることが言及されたり、劇中に登場する警察署の名前が「あぶ刑事」と同じ「港署」であったりと、遊び心あふれる「あぶ刑事」とのリンクネタも楽しい。もちろん元ネタを知らなくても楽しめるようなつくりではあるが、元ネタを知っているとさらに楽しめるようになっている。「あぶ刑事」では先輩・後輩関係だった柴田、仲村コンビが義母兄弟を演じていることを始め、パロディが盛りだくさんな本作は「あぶ刑事」ファンでなくても必見だ。
文=壬生智裕
放送情報【スカパー!】
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