山下智久が視力を失う役に挑戦し、引き込まれる演技を見せた、映画「SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる」

また、山下にとって実に6年ぶりとなるラブストーリーであり、40代を前にした彼が挑む純愛ドラマという点にも注目したい。年齢を重ねたことで、即物的な感情だけでなく奥深い部分にあるものも追求できるようになり、その深みは普遍的な愛を掘り下げようとする本作の骨格とも響きあうものがあったと言える。

おずおずとした手つきで真治が響にそっと触れ、優しく抱きしめ、つぶやくように愛をささやく。山下が静かに紡ぎ出すそんな営みのひとつひとつから、真治の抱える愛の深さがにじみ出ている。

視力を失って絶望の淵に突き落とされながらも、そこで最愛の人と出会い、幸せを見いだす真治。物語の後半では彼がさらなる試練に襲われることになり、ジェットコースターのような緩急も見どころの一つだ。

そんな感情の起伏が激しい展開ながら、全体的にはとても穏やかに感じられる点が本作の印象深いところ。こまやかな部分をカメラに捉え情感豊かに描き出すイ・ジェハン監督の手腕やエモーショナルな映像美もその理由として考えられるが、山下の演技も大きく寄与しているのではないだろうか。

真治は視力を失った絶望で叫ぶ場面こそあるものの、ベースとしては淡白で感情の抑揚があまりない人物のように映る。しかし、目をこらせば闇夜の中にも濃さの違う部分が見えてくるように、山下の淡々とした表情にも感情の陰影が複雑に織り込まれている。そんな静かな演技が、この作品の根幹を支えているように思えてならない。

繊細な演技を見せる一方で、山下は主題歌を歌うアーティストとしても本作に関わった。真治という役のDNAがしっかりと受け継がれ作品世界を温かく包み込む主題歌にも耳を傾けてもらいたい。

文=元永真

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放送情報【スカパー!】

SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる
放送日時:7月7日(日)21:00~ほか
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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